社長ブログBLOG

スマートフォン用カメラアクチュエータの動向と評価方法

※今回は2019年光技術コンタクト誌11月号に掲載された弊社作成の記事を掲載いたします。

1.はじめに

1999年初めて携帯電話にカメラが搭載され,直後より爆発的にカメラ付携帯電話は普及して
きた。当時の撮像素子は10万画素程度と非常に少ない画素のCCDイメージセンサが搭載されて
いた。その後2003年ごろからは画素数も100万画素を超えメガピクセルの時代に入る。その後
年々画素数は増え,現在では4,800万画素という超高解像度カメラを搭載したスマートフォン
が登場している。

一方アクチュエータの搭載となると2005年ごろから登場した高機能カメラ搭載携帯電話が上げ
られる。これらの機種はオートフォーカスや光学ズーム機能まで搭載し,ほぼコンパクトデジ
カメの機能を盛り込んだ携帯電話であった。

その後スマートフォンの登場により携帯電話の薄型化要求が強くなりiPhoneの登場によりスマ
ホ搭載カメラは新たな方向性が示されることになる。

特に2009年に発売されたiPhone3GSは現在主流となっているボイスコイルモータ(VCM)駆動
AF機構を搭載したカメラを搭載し市場投入された。
以後この種の機構部を搭載したスマートフォンカメラが主流となり,高画素化に伴い光学手ぶれ
機構(OIS)を追加しスマートフォン搭載カメラは発展を遂げてきている。

表1にスマートフォンとアクチュエータの年別生産数量を示す。

2017年はiPhone7plusが発売された。iPhone7plusは2眼カメラを搭載し,望遠と標準画像を
切り替えることでズーム機能を有していた。これ以降各社複数台のカメラをスマートフォンに搭
載,マルチカメラの普及が進むことになる。本年度は1台のスマートフォンのメインカメラに平
均2台のカメラが搭載される見込みであり,更に3眼以上のカメラ搭載スマートフォンも発表され
ており,カメラ台数はスマートフォンの市場の伸び悩みに反し右肩上がりで増加すると想定され
る。

また,アクチュエータ搭載数もカメラ性能の向上に伴い順調に推移し,望遠カメラのニーズの高
まりによりOISの搭載数量も増加することが予想されている。

表1 スマートフォンとアクチュエータの生産数量【伊藤敬合同会社出典】
単位:千台

2017 18 19予測 20予測 21予測
スマートフォン 1,428,400 1,404,800 1,381,200 1,398,000 1,408,000
メインカメラ 1,836,300 2,046,500 2,659,600 3,514,000 4,026,000
アクチュエータ 1,871,250 1,873,000 1,870,900 2,135,000 2,306,000
OIS 446,500 526,700 515,200 674,000 731,000

 

最近では一眼レフカメラと同等な性能を目指しスマートフォン搭載カメラの開発が行われてお
り,本書ではスマホ搭載アクチュエータの動向とその評価方法について解説する。

2.スマートフォン搭載カメラのアクチュエータ

スマートフォン搭載カメラには高性能なアクチュエータが採用されているが機能別に2種類に
大別される。AF用とOIS用である。

2-1 オートフォーカス(AF)アクチュエータ

AF用アクチュエータはカメラレンズを合焦位置に移動させるために使われる。
現在のスマートフォンではカメラの高画素化に伴い,搭載されるレンズに高い解像度が要求
さていれる。レンズの性能は最適な焦点位置で発揮される。そのためにレンズを搭載して
最適な合焦位置に移動可能なAF用アクチュエータが必要となっている。

移動機構には板バネやボールベアリングが使われている。また,駆動デバイスとしてはボイス
コイルモータ(VCM)が主流となっている。それぞれの概略図を図1に示す。板バネ方式は構造
が単純で作りやすいため比較的安価で作成できるため,多くのメーカーがこの方式を採用して
いる。摺動部が無いので発塵のリスクが少ないこともメリットの1つである。しかしレンズを移
動させる際2枚の板バネのバランスが崩れ,チルトが発生しやすいため,部品の高精度化や板バ
ネにかかるストレスを均等にする製造方法が必要となる。

一方ボールベアリング方式はチルトが発生しにくい構造であるが,摺動部があるため発塵のリ
スクを伴う。また,多くの高精度な部品が必要であり,製造に手間もかかり高価になってしま
うため,一部の韓国メーカーしか量産化に成功していない。

ボールベアリングを使ったAFアクチュエータの概要

 

 

 

 

 

 

 

 

<ボールベアリングを使ったAFアクチュエータの概要>

板バネを使ったAFアクチュエータの概要

 

 

 

 

 

 

<板バネを使ったAFアクチュエータの概要>

図1 AFアクチュエータの概要

AFの制御方式にはオープンループとクローズループがあるが,それぞれのAF制御方式の概要
を図2に示す。オープンループ方式はその制御が単純で安価な方法として現在主流となってい
る。しかし,オープン制御だとAFをかけるまで時間がかかることがあるためより高性能なAF
制御が求められている。この問題を解決したものがクローズループである。

高性能である反面,比較的高価になってしまうため高級機種から採用が進んでいる。クローズ
ループは現在のレンズ位置を測定・フィードバックするセンサ(ホール素子が主流)が搭載さ
れており,このセンサの信号を使い安定かつ高速なAFを実現している。現在市場にはホール素
子を内蔵したドライバICが登場しており,作りやすさと低価格化に貢献している。最近のスマ
ートフォンのアプリケーションソフトウエアにはARなどを駆使したものが多く登場しているが,
その中にはクローズループを必須とするものもある。このような状況もあり,クローズループ
を採用したカメラを搭載するスマートフォンが増加することが予想される。

オープンループAF制御

 

 

<オープンループAF制御>

 

クローズループAF制御

 

 

 

<クローズループAF制御>

図2 AFアクチュエータの制御方式

2-2光学手振れ補正(OIS)アクチュエータ

OIS用アクチュエータはレンズと撮像素子間の位置を制御して,手振れにより発生する映像の
ずれを補正するために使用される。実際の製品写真を写真1に示す。カメラで映像を撮影する
際どうしても手振れが発生する。手振れは高性能なカメラほど顕著に映像に影響を与えてしま
うので高級機種ほど手振れを補正するためのOIS用アクチュエータが必要となっている。2種
類のOIS用アクチュエータの概要を図3に示す。

 

OISアクチュエータ(製品)

 

 

 

 

 

 

写真1 OISアクチュエータ(製品)

(新思考科技ホームページより)

 

1つは4本ワイヤを使用した方式である。この方式は摺動部が無いため発塵のリスクが少ない
ことから多くのメーカーが量産を行っている。しかし4本ワイヤで水平方向の移動を行う際
構造上チルトの発生リスクが伴う。このため製品化を行う場合には4本のワイヤに均一に
テンションがかかる様な製造技術が必要となる。また,比較的衝撃に弱い構造であるため各
社様々な対策を施した製品を出荷している。

 

4本ワイヤを使ったOISアクチュエータの概要

 

 

 

 

 

 

<4本ワイヤ使ったOISアクチュエータの概要>

ボールベアリングを使ったOISアクチュエータの概要

 

 

 

 

 

 

<ボールベアリングを使ったOISアクチュエータの概要>

図3 OISアクチュエータの概要

 

一方ボールベアリング方式はチルトの発生リスクが少ないものの,摺動部があるため発塵
リスクが伴う。また,高精度な部品を多種使うため比較的高価になってしまう。このため
ボールベアリング方式AF同様韓国メーカーのみが生産しているのが現状である。

現在駆動方式の主流はVCMである。AFのVCMが巻き線による電気磁石であるのに対し,OIS
ではFPコイルも採用されている。OISを薄く作成したいためであり,現在のスマートフォン
の薄型化に伴いFPコイルは必須の技術となっている。

FPコイルは電磁石を薄くすることができる反面電磁力に限界があり,最新のスマートフォン
への採用に障害となる事例がでてきている。それは撮像素子の大型化にある。2019年現在
最新のスマートフォンには48Mピクセルという高画素CMOSが搭載されており,64Mピクセル
CMOSの製品化も予定されている。この素子に対応するためにレンズは大型化し,AFアクチュ
エータを含めたOISに搭載される荷重が大きくなっている。

重量物を移動させるためには大きな電磁力が必要であり,FPコイルでは限界が来ると言われ
ている。この現象は4本ワイヤ方式で顕著である。ワイヤのテンションによる反力もFPコイル
の負担になるからであり,この点ではボールベアリング方式は反力が無いため有利と言われて
いる。

VCMに代わる方式として形状記憶合金(SMA)がある。駆動力が大きいとされるこの方式は新
しいOISの駆動方式として注目されている。この方式の説明については2.3項に記載する。

また図3に示す様にフィードバック信号にはジャイロセンサが使われており,その信号をもと
に映像がずれないようにレンズの位置を制御している。最近では望遠カメラをスマートフォン
に搭載する例が増えておりOISのニーズが高まっている。

また,動画を撮影する場合にもOISは必須となってきており,今後スマートフォンへの採用
事例が増えることが想定される。また,5Gの登場により通信速度が飛躍的に向上する。通信
速度が速くなれば大容量の動画撮影機会も増えこの事もOIS普及の一因となることが期待され
ている。

2-3 最新の高機能アクチュエータ

ここでは最新のアクチュエータについていくつか紹介する。どの方式もスマートフォンの機能
向上のために考えらえたものであり,実際にスマートフォンに搭載されているものもある。

この方式はスマートフォンの限られたスペースでより望遠倍率を上げるために考案,開発され
たアクチュエータである。望遠倍率を上げるためには焦点距離(f)の長いレンズが必要となる。
しかし,スマートフォンの厚さ方向には限界があり,fの長いレンズは搭載できなかった。
潜望鏡タイプのカメラでは光路を90度曲げて面内方向に光路を設定することでfの長いレンズ
の搭載を可能とした。現在一部の中国メーカーから発売されたスマートフォンに搭載されてい
る。その構造(図4)を以下に示す。

 

潜望鏡タイプの構造(ペリスコープ)

 

 

 

 

 

図4 潜望鏡タイプの構造

 

潜望鏡タイプレイアウト

 

 

 

 

写真2 潜望鏡タイプレイアウト

【伊藤敬合同会社出典】

 

光学構成としてはプリズムミラとレンズで構成されている。スマートフォンに入射した映像を
プリズムミラーで90度折り曲げてからレンズを通して撮像素子に結像する。AFとOISはこの2
つの光学デバイスを移動させて行う。①プリズムミラを1軸傾けてOISの1軸を,レンズの移動で
AFともう1軸のOISをコントロールする方法と②プリズムミラを2軸傾けてOISを,レンズの移動
でAFをという組み合わせが考えられる。現状②では映像に歪みが発生するリスクがあるため①の
方式が採用されている。現在市販化されている潜望鏡方式の外観を写真2に示す。

<形状記憶合金(SMA)>

ワイヤ状に加工した形状記憶合金(SMA)を駆動デバイスにしたOISアクチュエータが実現して
いる。概略図を図5に示す。3枚のプレートに2対のSMAを接続した構造になっており,それぞれ
のSMAに電流を加えることで発生する温度変化によりSMAの伸び縮みを制御しレンズの移動量を
コントロールする。構造的にシンプルであり,部品点数を少なくすることができるため安価に
作成できるというメリットがある。また,前項で記載した通り駆動力が大きいことも特徴の1つ
である。

しかし,SMAは温度が変化するとその抵抗値も変化するため複雑なコントロールが必要となる。
このため専用のコントローラを作成して対応する必要がある。また,プレート間には摺動面が
あるので発塵リスクがあるためプレート面の精度が必要となる。

SMAは撮像素子の大型化に起因するレンズやAFアクチュエータの重量増加に対応できるデバイ
スとして注目を集めている。今後もスマートフォンの上位機種を中心に採用例が増えることが
想定される。

 

SMA-OISの構造

 

 

 

 

 

図5 SMA-OISの構造

 

<センサシフトOIS>
この方式は撮像素子を移動させて手振れを補正するもの,つまり撮像素子をアクチュエータ
に載せて制御するOISである。デジタルスティルカメラでは多く採用されている方式であるが,
スマートフォン業界では新しい技術となる。スマートフォンのOISは通常レンズを移動させて
行っているが,レンズの大型化,重量化に伴い比較的軽量な撮像素子を移動させた方がメリッ
トがあるという判断から開発が進んでいる。

さらにレンズ移動方式では水平方向2軸(X-Y軸)のみのOISになるが,センサシフト方式で
はX-Y軸制御に加え回転(θ軸)の制御も可能となる。つまり3軸OISが実現可能となる技術であ
る。センサシフトOISは今後のスマートフォンの新しい追加機能として注目されている(図6
参照)。

センサーシフトOISの概要

 

 

 

 

図6 センサシフトOISの構造

<ズームレンズ>
携帯電話へのズームレンズ搭載は2000年代中盤からである,その後2010年ごろからはコンパ
クトデジカメのカメラ部分を携帯電話に搭載したものまで登場する。これらの機種は高倍率光
学ズームレンズを搭載しているためカメラ使用時にはレンズがせり出してきてほとんどコンパ
クトデジカメと同じ使い勝手であった。その後スマートフォンの普及によりこの様なデジカメ
光学系を搭載した携帯電話は電池の持ちも悪く製品化はされなくなった。現状はスマートフォ
ンに焦点距離の違う複数のカメラを搭載して光学倍率の違う映像を撮影,中間倍率はデジタル
処理で実現するという形が主流となっている。

一方デジタルスティルカメラは物理的な制限が少ないことで設計の自由度が大きく純粋な光学
ズーム機構を搭載することができ,スマートフォンとの差別化を確保している。スマートフォ
ンメーカとしてはデジタルスティルカメラと同等な機能を持たせたい,純粋な光学ズームレン
ズの搭載はスマートフォンメーカにとって1つの大きな目標となっている。想定されるズーム
レンズの構造を図7に示す。ズームレンズは複数のレンズ群の間隔を変更する事でズーム倍率
を変えることができる。アクチュエータとしては潜望鏡タイプから1軸増えて4軸制御になる。

ズームレンズの構造

 

 

 

 

図7 ズームレンズの構造

 

<スマートフォン搭載アクチュエータの推移>
表1にスマートフォンの出荷台数とカメラの数量,種類別アクチュエータの数量それぞれの
推移を示したとおり,現在スマートフォンにはAF,OISを目的としたさまざまなアクチュエ
ータが搭載され,それぞれが高精度に移動することでデジタルスティルカメラに引けを取ら
ない画像撮影を可能としている。事項ではこれらアクチュエータの評価装置がどのようなも
のか解説する。

3.スマートフォン搭載アクチュエータの評価

スマートフォンに搭載されるアクチュエータはそのカメラ性能を最大限に発揮させるために
レンズを最適な位置に正確に移動させる必要がある。よってアクチュエータには高い精度が
要求される。それは移動軸に対し正確に入力した信号に対し移動することはもちろん,傾か
ずに移動することも重要となる。

現在最新のスマートフォンレンズはFナンバーが1.5程度まで下がってきており明るいレンズ
が搭載されている。この値から焦点深度を求めると4.5um程度になる。このレンズがどれく
らい傾くと焦点深度から外れてしまうのか,最新の撮像素子1/1.7インチCMOSで考えた場合
は約0.035度(2分)傾くと焦点深度から外れてしまう。実際のスマートフォンレンズは複数
枚のレンズで構成されているため単純な計算では正確な値は求められないが,傾きは非常に
重要であることは理解できる。このためスマートフォンメーカでは傾きに対する測定も重視
しており,測定装置には傾き測定の機能が搭載されている。ここでは当社が製品化したアク
チュエータの検査装置について解説する。

3-1 AFアクチュエータの評価

AFアクチュエータ検査装置外観

 

 

 

 

 

 

図8 AFアクチュエータ検査装置外観

AF測定項目例

 

 

 

 

 

 

図9 AF測定項目例

AFアクチュエータは光軸方向にレンズを移動させ合焦点に位置決めする。測定機の機能とし
ては変位(Z軸:光軸方向)測定とチルト(TX-TY軸:2軸傾き)の3軸を同時測定する。通
常の検査ではAFアクチュエータに電流を加え,各ステップの変位とチルトの値を計測,様々
な特性を評価するストローク測定と呼ばれる検査が行われる。

測定機の外観(図8)と測定画面(図9)を以下に示す。また,変位チルトセンサ(HTシリーズ)
の測定原理について図10・11に示す。変位測定は三角法,チルト測定はオートコリメーター
法を採用しておりこの2つの光学センサの機能を1つの筐体に内蔵,変位チルトの同時測定を
実現した。また,光源を共有化することで光学センサの簡素化を実現した。

 

変位測定原理(三角法正反射)

 

 

 

 

 

 

 

図10 変位測定原理(三角法正反射)

チルト測定原理(オートコリメータ法斜入射)

 

 

 

 

 

 

 

 

図11 チルト測定原理(オートコリメータ法斜入射)

3-2 OISアクチュエータの評価

OISアクチュエータの評価はアクチュエータが動く方向(X-Y軸:変位)の測定と傾き(TX-
TY軸:2軸傾き)の4軸を同時に測定する。さらに,OISアクチュエータにはほぼ全数AFアク
チュエータが搭載されているため,AFアクチュエータも同じ工程で検査されるケースが多い。
つまり,測定装置としては5軸測定機能を有している必要がある。

測定装置の外観(図12)と測定画面(図13)を以下に示す。また,変位測定原理について図14
に示す。

MF-5550_a_背景ヌキ_20210623

 

 

 

 

 

 

 

 

図12 OISアクチュエータ検査装置外観

OIS測定項目例

 

 

 

 

 

 

図13 OIS測定項目例

本装置には高速5次元センサを採用しており,その内部構成は3.1項で紹介した変位チルト測
定光学系と変位測定光学系を同一筐体に組み込むことで同時5軸測定を実現した。位置測定は
均一光源を照射,測定物に搭載したターゲットの動きを受光光学系で測定することで変位量の
測定を行う。

位置測定原理

 

 

 

 

 

 

 

 

図14 位置測定原理

 

3-3 潜望鏡アクチュエータの評価

潜望鏡アクチュエータには大きく分けてプリズムミラを動かす機構とレンズを動かす機構が装
備されている。個々そのアクチュエータの移動軸と移動量等仕様に最適な光学センサを使い測
定を行う。
プリズムミラに関しては傾斜角度を制御することでOISの1軸に対応している。このため入力
信号による傾き量(チルト)を測定する。現状のプリズムミラは±2度以上の移動範囲を持って
おり,フルストロークを測定するためには±3度以上の視野を持つチルトセンサが必要となる。
当社では±5度の測定レンジを持つチルトセンサを開発,プリズムミラの測定に対応している。
また,±10度の測定レンジを持つチルトセンサも開発,あらゆるニーズに対応できるよう準備
を進めている。

一方レンズアクチュエータに関しては光軸方向から5次元センサを使い測定を行う事が可能で
ある。測定は3.3項のOISアクチュエータの測定と同様な方法で行う。

3-4 センサシフトOISアクチュエータの評価

2.3項に記載した通りセンサシフト方式のOISはX-Y軸に加え回転(θ軸)方向にもOISの補
正軸を持っていることが特徴である。測定装置としては5次元センサにさらに1軸(θ軸)を追
加しなければならない。当社では新たな光学センサを開発しセンサシフト方式OISの測定ニ
ーズに対応している。光学センサの外観を図15に示す。基本的には5次元センサの光学系に1
軸を追加して6次元センサを実現しているが,詳細については次の機会に解説したいと思う。

6次元センサ_旧タイプ_新型6次元センサ_20210623

 

 

 

 

 

 

 

図15 6次元センサ外観

4.おわりに

OISアクチュエータに採用されている方式別に生産数量の推移を表2に示す。
2017年には市販化が実現していた4本ワイヤとボールベアリング方式のみの出荷が行われて
きたが2019年になり新型方式を採用したOISアクチュエータの採用が始まった。これらの新
型アクチェータはそれぞれの特性を生かし,採用数量を増やしてゆくことが予想されている。
今後も様々な技術を使った新しいアクチュエータが登場する可能性もあり目が離せいない。

日々進化するスマートフォンのカメラ技術には新たなアクチュエータの開発・製品化,また
従来製品の性能向上が不可欠となっている。さらに,他社に先んじて新たな機能を盛り込ん
だスマートフォンを発売するためにアクチュエータの開発開始から製品化までの期間が短く
なっていることも事実である。このような環境下において性能評価を行う光学センサ及びそ
れを組み込んだ検査装置も不可欠であり,市場のニーズにタイムリーに応えられる用光学セ
ンサの開発・製品化を続けてゆきたい。

表2 OISアクチュエータの方式別生産推移 【伊藤敬合同会社出典】
単位:千台

2017 18 19予測 20予測 21予測
4本ワイヤ 337,500 406,600 350,000 260,000 160,000
ボールベアリング 109,000 120,100 136,200 180,000 210,000
潜望鏡 0 0 17,000 174,000 241,000
SMA 0 0 12,000 32,000 60,000
ピエゾ 0 0 0 28,000 60,000
総合計 446,500 526,700 515,200 674,000 731,000

新型6次元センサ

オートコリメータで倒れの角度を測定し、変位を変位計で測定する。
さらに回転方向の角度もオートコリメータで測定すれば
θX,θY,X,Y,Z,θZの6軸方向の測定は可能ですが、
測定するためのターゲットが複雑な形状になるばかりか
データ管理の観点からするとあまりシンプルな
手法ではありません。

弊社ではこの6軸の測定を一方向から同時に測定可能な
センサの開発に成功しました。

R0878_6次元センサ装置イメージ②

 

 

 

 

 

 

主なアプリケーションはスマートフォンカメラモジュールの
アクチュエータの検査、(IBIS(センサーシフト式手振れ補正))
評価を想定しております。

ご興味ありましたら下記よりお問い合わせください。

新型変位チルトセンサ(オートコリメータ)

オートコリメータで角度を測定し、変位を変位計で測定する。
2つのセンサーを使うことでチルトと変位を測定する手法が
ありますが、データ管理の観点からするとあまりシンプルな
手法ではありません。

弊社ではこの変位とチルトを一方向から1レーザーで同時に
測定可能な変位チルトセンサという商品を扱っています。

この度従来品にくらべ、体積を約35%サイズダウンしたものを
リリースしました。

測定範囲は変位が±1500μm、チルトは±60分でのご案内となっております。

ご興味おありでしたらこちらからお問い合わせください。

中小企業 新ものづくり・新サービス展

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2019年12月4日(水)~6日(金)
東京ビックサイト青海展示棟Bホールにて開催されます
中小企業 新ものづくり・新サービス展2019に出展いたします。
是非お立ち寄りください。
(小間番号B-12)

センサーシフト式光学式手ぶれ補正機構用測定センサ

弊社で取り扱っているX、Y、Z、θX、θYの5軸
を一台で測定可能にしたセンサー、MF-5550ですが、
主にはOIS(光学式手振れ補正)を評価、測定するために
ご使用いただいております。

手振れ補正の方式は大きく分けて2つあります。

ソフトウェア的にブレた映像を加工、修正する方式である
電子式手振れ補正。

カメラを構成するハードウェアを物理的に動かしブレを
キャンセルする方式の光学式手振れ補正。

撮影した映像を加工、修正する電子手振れ方式よりも
光の状態で映像を補正する光学式手振れ補正のほうが
画質面でアドバンテージがあります。

また、動画の場合電子手振れ方式ではリアルタイムに
画像加工、修正する必要があるため補正そのものが難しく
なります。

光学式手振れ補正ですが、
レンズを動かし、ブレをキャンセルする手法と
撮像素子を動かし、ブレをキャンセルする手法と2種類あります。

(冒頭で紹介したMF-5550はレンズを動かす方式のものを
 測定するセンサーです。)

レンズを動かす方式をレンズシフト式、、撮像素子を動かす
方式はセンサーシフト式と呼ばれています。
(メーカーによってはSmartSensor Image Stabilizationと
 いう名称で展開しているようです。)

現在弊社ではこのセンサーシフト式に対応した
OIS(光学式手振れ補正)用の新しいセンサー開発を
進めております。

測定軸はX、Y、Z、θX、θYに回転軸(θZ)を加えた6軸です。

詳しくはお問い合わせください。

ペリスコープ(潜望鏡)カメラモジュール

SNSにはなくてはならないカメラですが、スマホのカメラは
とどまることなく進化を続けており今では光学ズーム機能付き
のものもめずらしくなくなりました。

過去にはレンズをステッピングモーターで物理的に動かすことで
光学倍率を可変し、光学ズームを実現していたものもありましたが、
今現在は広角、望遠などの倍率の異なるカメラをあらかじめ用意し、
それらの画像をソフトウェア的に処理することで光学ズームを
実現する方式が主流となってます。

広角についてはレンズの焦点距離が短いものを使うため物理的な
制約は問題になりませんが、望遠の場合は焦点距離が長くなるため、
物理的な距離(スペース)が必要になります。

今現在のスマホの厚さのなかにそのままレンズを仕込むのは物理的に
不可能です。

そこで、考え出されたのがプリズムで光路をおりまげて距離を確保する
ペリスコープ(潜望鏡)型のカメラモジュールです。

ペリスコープ

 

 

 

 

この方式を用いることで望遠のカメラモジュールを薄いスマホに
設置することが可能になりました。

望遠レンズは遠くの物体を測定するため、より手振れの影響が
出やすくなる点が挙げられます。したがって望遠側には手振れ
補正機能(OIS)が必須になります。

弊社ではペリスコープタイプのカメラモジュール用の
新しい光学センサーを開発中です。

ご興味あおりでしたら下記からお問い合わせください。

高密度化し続けるHDD

携帯音楽プレーヤーなどの比較的小さな記録媒体用に
小型のHDDが搭載されていた時代がありましたが、
平成が終わり、令和を迎えた今ではパソコンのストレージデバイス
でさえフラッシュメモリー(SSD)に置き換わりつつあります。

HDDはビット単価で比較した場合、SSDに比べるとまだまだ
信頼性やコストが安価なため、データセンターなど大容量が必要な
場面では今現在も広く利用されています。

そんなHDDですが、昨今記録密度を従来よりも向上させる
新技術をもちいたものが市場に投入されるようです。

HDDは記録層の磁石を微分化することで高密度化を実現し
てきましたが、物理的に小さくしすぎると磁石の保持力が
低下するため情報のエラーや記録消失といった問題が発生
してしまいます。

磁石の保持力を維持するためには保持力の強い材料を用いれば
よいのですが、そうすると書込みが難しくなってしまうため、
従来の方式ではこれ以上の高密度化は難しい領域に達していました。

こうした問題を解決するために新しい記録技術が開発されました。
情報を書き込むときだけ一時的に磁石の保持力を下げる技術です。

その手法はMAMRとHAMRという2つの方式があり、どちらも次世代
HDDの技術として注目されているようです。

高密度化高精度化しつづけるHDDは、構成している各種部品の
品質もさらに高いものがもとめられるようになっています。

弊社ではHDDを構成する部品やモーターを非接触で高精度に測定する
手法をチルトセンサや変位チルトセンサ(オートコリメータ)でご提案しています。

精密な角度測定、定量的な角度、変位測定の手法にお困りなこと
などありましたらお問い合わせください。

スピンドルモータの振れ・軸倒れ測定

トピックスNo.0013で紹介している、
高速で回転するスピンドルモータの軸振れと軸傾きを測定する技術を紹介します。

<概要>
高速かつ高精度で回転するスピンドルモータの測定を非接触で行います。
静的な測定はダイヤルゲージなどを用いて測定可能ですが、レーザを用いることで
動的な測定が非接触で行えます。

<測定ニーズ>
①光ディスク、HDDのスピンドルモータ
記憶媒体(ディスク)を回転させ、ディスク上の情報を読み書きする装置。
ディスクの振れが大きくなるとエラーが発生し、読み書きができなくなる。
この為スピンドルモータの測定が必要。

②機械加工機のスピンドルモータ
マシニングセンター、フライス盤、旋盤など工具や加工品をチャッキングして
回転させ加工を行う装置。スピンドルに振れがあると正確な加工ができない。
また振れにより工具や装置の破損につながる。この為スピンドルモータの測定が必要

③ビームスキャンモータ
レーザープリンタやレーザーレーダー等に搭載され、反射ミラーを回転させることで
レーザービームをスキャンするモータ。モーター軸に振れがあると目的の位置に
ビームをスキャンすることが出来ない。この為モータの測定が必要

<測定原理>
スピンドルの振れはスピンドルモータの軸の振れを測定することで検査ができます。
傾きの測定技術としてオートコリメーション法があります。
当社ではレーザを光源としたチルトセンサ(オートコリメータ)を有しており、この技術で測定が可能です。
測定原理はトピックスNo.0016_チルトセンサ を参照ください。

<チルトセンサ(オートコリメータ)のメリット 1>
チルトセンサの測定値は測定距離(ワーキングディスタンス)の影響を受けません。
下の図でa~dは同じ角度の測定対象物とします。
反射光は同じ角度で受光系のコリメータレンズに入射します。
同じ角度で同一のレンズに入射した光は1点で集光します。
集光点の座標が測定角度になりますので本測定原理は測定距離の影響を受けません
ワーキングa

 

 

 

 

 

<チルトセンサ(オートコリメータ)のメリット 2>
1点計測で傾きが求められる。
下左図 通常変位測定で傾きを測定するためには2点案の距離(l)と変位差(Z)を
求め計算する必要があります。
tanθ= z/l にて角度が求められますが、測定間隔lが短くなると分解能が低下します。
この点下右図当社のチルトセンサ(オートコリメータ)は微小面積でも測定が可能であり、測定面積の影響を受けません。

変位計01a

 

 

 

 

 

 

 

 

また、変位計で2軸の傾きを求めるためには3点以上の測定が必要です。

変位計02a

 

 

 

 

 

 

 

 

以上のことから傾きを測定するための方法として
チルトセンサ(オートコリメーション法)は最適と言えます。

<スピンドル測定>
アナログデータ出力10KHzサンプリングに対応した高速のチルトセンサ(オートコリメータ)を使い、
スピンドルの測定面に光を当て反射光の計測を行います。
下の図は振れを持つスピンドルが90度ずつ回転した時の測定について解説したものです。

0013_スピンドル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この測定をスピンドル回転時に連続して行い、スピンドルの軸振れと軸倒れを測定します。

<アナログチルトセンサ>
スピンドル測定専用ソフトウエアを搭載したアナログチルトセンサ(オートコリメータ)についてご紹介します。

・主な仕様
測定範囲  : ±60分(±1度)
分解能   : 0.001度(0.06分)
サンプリング: 10,000回/秒
センササイズ: W100×D150×H56mm
質量    : 約800g

・高速測定
当センサは毎秒10,000サンプリングが可能です。
スピンドル測定は実使用回転数でないと発生しない振れがあるため
測定は実回転数での測定が要求されます。その回転は極めて高速です。

例)3,600rpmで回転
  3,600rpm = 60rps
  10,000サンプリング ÷ 60回転 ≒ 167サンプリング/回転
  360度 ÷ 167サンプリング ≒ 2.2度毎の測定が可能。

・分解能
 0.001度の分解能を変位に換算。
 スピンドルの支点から10㎜の位置での変位量  : 0.2um
     〃     100㎜   〃     : 2um

測定スピード、分解能とも十分な性能を有しているのがお分かりいただけると思います。
サンプル測定などがありましたらご協力いたします。フォームよりご連絡ください。

軸外収差測定-2

光を用いてデータを記録、再生する仕組みをもつものは
様々ありますが、CDやDVDなどの光ディスクもその一つです。

今となってはコンシューマーマーケットにおいて半導体メモリに
主役を奪われていますが、ビデオレコーダーやゲーム機などに搭載され、
またデーターセンターなどでは信頼性の高いメディアとして重宝されています。
この光学ドライブ装置の中にデータを読み書きする光ピックアップという
モジュールが搭載されています。

過去弊社では光ピックアップの性能を光学的に評価する
装置を扱っていました。

光ピックアップは極めて小さなビームスポットを作り出す
必要があり、このスポット像を解析することで、光学的な
エラー(収差)を解析し、光ピックアップの性能を評価していました。

光ピックアップ時代はツェルニケの多項式をもちいて
非点収差、コマ収差、球面収差の解析を行っていました。

光ピックアップは単にビームスポットを作り出せばよいため
収差の測定は軸上だけで問題ありませんでした。

しかし、映像を撮るためのカメラモジュールなどは軸上
だけではなく、軸外の確認が当然必要になります。

カメラモジュールはMTFで評価することが一般的ですが、
MTFの測定値はカメラにおける体力測定であり、
セットメーカーにとっては便利な数字です。

しかし、レンズメーカーにとってはレンズのどこが
どのような状態なのかといった解析ができず、
製造工程に対しては有益な測定値にはならないのが
現状です。

レンズだけに着目した場合、カメラモジュールに組み上げる前
段階で、軸上、軸外の収差を定量的に測定できればレンズ単体の
品質管理およびレンズの製造工程へフィードバックをかけられる
などのメリットが生まれます。

レンズの収差を測定する手法は波面干渉計などもありますが、
光軸外の収差を測定するには測定物のセッティングが難しく、
測定再現性がとれない等、汎用性は限られてきます。

そこで当社では軸外収差も軸上収差と同じ分解能で同時に
測定ができる装置の開発を引き続き行っています。

LiDAR(Light Detection and Ranging)

車の運転支援や自動運転に必要なデバイスは
例えば物体の距離や方向を検知するために使われる
LiDAR(Light Detection and Ranging)、やミリ波レーダ、
道路の白線、交通標識を検知するためのカメラなどがありますが、

その中でも自動運転には必須といわれているLiDARは
アポロ15号の時代でも使われた数十年の歴史がある技術です。

アポロ15号で使われたLiDAR技術は地球と月の距離を測定するために
使われましたが、現代では車と物体の距離を測定し自動運転を実現する
手法として研究開発が進んでいます。

LiDARはパルス状の赤外線を発射し、周りの物体から反射して戻ってくるまでの
時間を測定することで、周りの状況を検知しています。
この測定間隔は実に1秒あたり数百万回行われているそうです。

今現在作られているLiDARの一部は投光部、受光部それぞれの品質に
ついてはあまり問われることがないようで、トータルでの性能に問題が
なければ良しとされていることがあるようです。

その昔、CDやDVDなどの光学ピックアップが数多く作られていた時も
個々の品質ではなく、トータルで問題なければよしとされていた
期間がありましたが、高性能なものが求められるようになるにつれて
やはり個々の性能をきちんと測定する手法が必要になった経緯が
あります。

今後のLiDARの技術開発にも同じことがいえるのではないかと
考えております。

弊社ではレーザ光の測定技術や、受光部の調整技術など、
各種光学測定手法を有しております。

LiDAR開発においてお困りな点、測定テーマなどありましたら
ご相談ください。