COLUMN

コラム

光センサーの種類を用途別に整理|仕組み・特徴・選び方

  • コラム

光センサーは、光(可視光・赤外・紫外など)の強さや色、到達時間の違いを電気信号として取り出し、「有無検出」「距離測定」「色判別」などに使われるセンサーです。

ただし「光センサー」と一口に言っても、受光素子の違い配置(検出方式)の違い測距方式の違いで、性能や得意分野が大きく変わります。選定を誤ると「検出はできるが誤検出が多い」「現場で調整が終わらない」といった問題につながりやすいのが実情です。

本記事では、用途に直結する3つの切り口(素子/検出方式/測距方式)で光センサーの種類を整理し、選び方のチェックポイント具体的な活用例までまとめて解説します。ます。

光センサーとは|役割と主な用途

光センサーは光の変化を捉えて電気信号に変換し、機器の自動化や安全確保、計測の高度化に使われます。

光センサーの役割は、光の「ある・ない」「強い・弱い」「どの色(波長)か」「どこから来たか」を手がかりに、対象物や環境の状態を検出することです。スイッチのようなON/OFF検知から、距離や位置の計測、外観検査まで幅広く担当できます。

代表的な用途は以下のとおりです。

  • 物体の有無検出(通過検知、詰まり検知、枚数検知)
  • 位置決め(停止位置検出、端面検出)
  • 品質検査(印字・欠け・色ムラ)
  • 安全用途(侵入検知、ドアの開閉検知)

非接触なので対象を傷付けにくく、衛生面でも有利です。

一方で「光で見ている」以上、周囲照明や太陽光、粉じん、レンズの汚れ、対象物の反射率や透明度といった条件で結果が変わり得ます。用途だけでなく環境と対象物のクセまで含めて設計することが、光センサー選びで最も重要です。

光センサーの基本原理|光を電気信号に変える仕組み

光センサーの中核は、光の入射によって電荷が生まれる(または抵抗値が変わる)受光素子と、その信号を扱いやすい形に整える**信号処理回路(増幅・比較・演算)**です。

受光素子が光を受けると、素子内部で電流が流れたり電圧が生まれたりして、光の情報が電気信号へ変換されます。

代表的な変換は次の2つです。

  • 光電効果:光で電流が増える(フォトダイオード、フォトトランジスタなど)
  • 光導電効果:光で抵抗が変わる(CdSなど)

どちらも最終的には電圧や電流として取り出しますが、**応答速度・温度依存・直線性(光量に比例しやすいか)**に差が出ます。

実用上のポイントは、受光素子の出力がそのまま使えるとは限らないことです。微弱な光電流は増幅が必要で、周囲光や電気ノイズの影響も受けます。そのため、しきい値設定変調光による外乱光除去フィルタやレンズによる入射光の制御まで含めて「センサーとしての性能」が決まります。

光センサーの特徴|メリットとデメリット

メリット

光センサーの最大のメリットは、非接触で検出できることです。摩耗が起きにくく、柔らかい・熱い・高速で動く対象にも対応しやすいです。また光は変化を高速に捉えられるため、ライン速度が速い工程でも検出遅れが起きにくいのが強みです。

分解能(小さな変化を捉える力)を上げやすいのも特徴です。ビーム径を絞る、焦点距離を詰める、画像として面で扱うなど、光学系の設計次第で微小部品や微細な段差にも対応できます。色や波長を使えば、見た目が似た対象の識別にも広がります。

デメリット

デメリットは、光学条件の影響を避けにくい点です。外乱光、反射率のばらつき、透明体の屈折やレンズ効果、光沢面の鏡面反射、粉じん・ミストによる散乱は誤検出の原因になります。

対策は主に以下に集約されます。

  • 方式を変える(透過型、回帰反射型、距離設定型など)
  • 波長を変える(赤外・可視、フィルタ併用)
  • 基準を作る(リフレクタ、基準面、治具)
  • メンテしやすい構造にする(汚れ対策、清掃性、交換性)

購入前に現場条件を見積もるほど失敗が減ります。

光センサーの種類1|素子(受光デバイス)で分ける

まずは「何で光を受けるか(受光素子)」で分類します。応答速度・感度・コスト・扱いやすさが変わり、用途の当たりが付けやすくなります。

素子での分類が選定の近道になりやすい理由は、同じ検出方式でも「速さ」「弱い光への強さ」「扱える情報量(光量だけか、画像か、スペクトルか)」が素子でほぼ決まるためです。

フォトダイオード(PD)

フォトダイオードは、入射光に応じた光電流を取り出す受光素子で、光量を比較的リニアに測りやすいのが特徴です。光の強さを数値として扱いたい計測用途や、変化を高速に追いたい用途で選ばれます。

応答が速く広帯域に対応しやすいため、光通信、回転体のエンコーダ、パルス光を使った測定など「時間分解能」が効く場面に向きます。

注意点は出力が小さいことです。微弱な光電流を増幅する回路が必要で、ノイズや配線、周囲光の影響が結果に直結します。性能を出すには、受光面積・レンズ・フィルタと、増幅方式(トランスインピーダンス増幅など)をセットで考えるのが基本です。

フォトトランジスタ

フォトトランジスタは、入射光をきっかけにトランジスタ内部で電流増幅が起き、比較的大きな出力が得られる受光素子です。外付け回路を簡単にしやすく、光のON/OFF検知に強いのが実務上のメリットです。

「しきい値を超えたらON」といった判定が作りやすいため、簡易な遮光検知、リモコン受信、スロットセンサーのような通過検知など、コストと実装性を重視する用途でよく使われます。

一方でフォトダイオードに比べると応答は遅い傾向があり、光量の厳密な定量には向きにくいです。速度が必要な場合や、光量を細かく比較したい場合はPDや専用ICの方が安定します。

フォトレジスタ(CdSセル)

フォトレジスタは、光が当たると抵抗値が変わるタイプの受光素子です。電圧分割などの簡単な回路で明暗を取り出せるため、構成をシンプルにしたい場面で便利です。

用途は、照明の自動点灯、表示の自動調光、周囲の明るさに応じた動作切り替えなど、環境光の「明るい/暗い」をゆるく判定する領域が中心です。

注意点は応答が遅めで、温度や経年で特性が変わることがある点です。またCdS(カドミウム)を含む場合、材料規制や用途制限の有無を事前に確認する必要があります。量産製品への組み込みでは代替素子の検討も含めて進めると安全です。

CMOSイメージセンサー

CMOSイメージセンサーは、多数の画素で光を「面」として捉える受光デバイスです。単なる光量ではなく、形状・位置・パターンを扱えるため、画像認識や外観検査、人の検知などに展開しやすいのが特徴です。

イメージセンサーは「何が写っているか」を判断できるため、ワークの有無だけでなく、向きの違い、欠け、印字の有無、位置ずれの補正といった検査に強くなります。

ただし導入は素子単体で完結せず、レンズ、照明、ISP(画像処理)、演算(CPU/GPU/AI)、しきい値設計まで含めたシステム選定になります。環境光の変動や被写界深度、シャッター方式の影響も受けるため、現場条件に合わせた撮像条件の設計が品質を左右します。

分光センサー

分光センサーは、波長ごとの光強度(スペクトル)を測定し、色だけでなく成分や材質の違いまで推定できるセンサーです。人の目では同じ色に見えても、スペクトル形状が違えば判別できることがあります。

食品や化学、環境計測、真贋判定など「見た目の色」より一段深い識別が必要な用途で効果的です。選定では、波長範囲(可視、近赤外など)、分解能、S/N、測定時間に加えて、光源の安定性と校正方法が重要です。

太陽電池(光起電力型)

太陽電池は光で起電力を得るデバイスで、外部電源なしでも信号を得られる設計が可能です。屋外での昼夜判定、簡易な日射量の把握、エネルギーハーベスティングを兼ねたIoT機器の起動条件などに向きます。

注意点は、負荷条件で出力が変わることと、温度依存性が大きいことです。センサーとして使う場合は、負荷抵抗の設計や温度補正を入れて「比較可能な値」に整えるのがコツです。

特殊用途の光センサー|APD・PMT・SiPMなど

極微弱光を捉えたい、または高速で高感度な検出が必要な場合は、特殊用途の受光素子が選択肢になります。APD(アバランシェフォトダイオード)、PMT(光電子増倍管)、SiPM(シリコン光電子増倍)などが代表例です。

APDはLIDARや精密測距、微弱反射光の検出で有効です。PMTは蛍光計測や放射線検出の光読み出しなどで使われます。SiPMは半導体ベースで小型化しやすく、PMTの領域を置き換える用途も増えています。

注意点は設計難易度が上がることです。高電圧が必要なもの、温度でゲインが変わるもの、強い光で飽和するものがあり、校正・保護(過光入力対策)まで含めた検討が重要です。

光ファイバーセンサー

光ファイバーセンサーは、光をファイバーで導き、受光部(センサヘッド)を狭い場所や過酷環境に配置しやすくした構成です。センサー本体を離して設置できるため、熱や電磁ノイズ、危険エリアから電子回路を隔離できます。

微小ワーク検出、部品の隙間検出、狭所への後付けなどに有効です。制約は曲げ損失や断線リスク、先端汚れの影響です。最小曲げ半径の確保、固定方法、メンテナンス手順まで含めて設計することが重要です。

光センサーの種類2|検出方式(配置)で分ける

次に、投光部と受光部の配置で分類します。同じ素子でも、透過型か反射型かで誤検出の起点が変わるため、まず検出方式で大枠を決めると選定が早くなります。

透過型

透過型は投光器と受光器を対向配置し、対象物が光路を遮ることで検出します。光が届く・届かないの差を見られるため、対象物の色や表面状態の影響を受けにくく、安定検出に強い方式です。

注意点は設置スペースと光軸調整です。透明体や薄物は十分に遮光できず誤判定が起きることがあるため、波長選択、受光感度調整、治具で角度を付けるなどの工夫が必要になる場合があります。

反射型

反射型は投光・受光が同一側にあり、対象物からの反射光を受けて検出します。対向に機器を置けない場所でも設置でき、後付けもしやすいのがメリットです。

一方で反射光の量は対象物の色、光沢、表面粗さ、角度で大きく変わります。安定性を上げるには、距離設定などの派生方式、光学フィルタ、変調光などの外乱対策を検討します。

回帰反射型

回帰反射型は、リフレクタを対向に置き、そこから戻ってくる光を基準にして遮光で検出します。透過型に近い安定性を持ちつつ、光軸合わせが比較的容易です。

注意点はリフレクタの汚れや位置ずれで基準光が変わることです。透明体検出では偏光フィルタの有無や取り付け角度で結果が変わる場合があります。基準光量の監視(余裕度確保)を設計に入れると長期安定につながります。

光センサーの種類3|測距方式で分ける(距離センサー)

距離を扱う光センサーは、方式によって得意な距離レンジ・精度・誤差特性が異なります。重要なのは、距離の計算方法が違うと誤差の出方も違う点です。

代表的には以下があります。

  • 三角測距(受光位置のずれで距離を出す)
  • TOF(光が往復する時間で距離を出す)
  • 位相差(変調光の位相のずれで距離を出す)

選定では距離レンジと必要精度に加え、対象物の反射率ばらつき、角度、透明体・鏡面の有無を必ず確認します。カタログの最大距離よりも、現場条件での安定余裕(S/N、受光量の余裕度)を確保できるかが成否を決めます。

最適な光センサーの選び方|用途別チェックリスト

光センサー選定は「目的→対象物→環境・運用」の順で分解すると迷いません。

1)目的を分解する

  • 有無検出か
  • 位置・距離を数値で取りたいか
  • 色・材質を識別したいか
  • 形状・印字などを検査したいか

2)対象物を整理する

  • 材質(反射率・透過率)
  • 表面状態(光沢、粗さ)
  • 形状(曲面、穴、エッジ)
  • 大きさ、速度、振れ

3)環境・運用を確認する

  • 外乱光(窓際、屋外)
  • 粉じん・ミスト、結露
  • 温度、振動、配線距離
  • 清掃頻度、交換のしやすさ

導入時は感度余裕としきい値余裕を確保し、汚れや経年で光量が落ちても誤検出しない設計にしておくことが、長期安定の最短ルートです。

光センサーの活用例|スマートデバイス・産業・環境モニタリング

スマートデバイスでは、周囲光センサーによる画面の自動調光、近接検知、CMOSによる顔認証や撮像、TOFによる簡易距離計測などが代表例です。

産業分野では、透過型での通過検知・カウント、反射型でのワーク有無検出、回帰反射型での搬送路の安定検出、ファイバーセンサーでの狭所検出、測距センサーでの高さ・段差測定など、工程の自動化に直結します。

環境モニタリングでは、太陽光を含む照度推定、分光による成分推定、屋外監視の距離計測などに広がります。屋外は外乱光と温度変動が大きいため、波長帯の選定、遮光構造、校正方法、経年変化の見込みまで含めて設計し、データの比較可能性を担保することが重要です。

まとめ|光センサーは「素子」「検出方式」「測距方式」で選ぶ

光センサーの種類は多いですが、選定の軸は素子/検出方式/測距方式の3つに整理できます。

  • 素子:得られる情報量と限界性能を決める
  • 検出方式:設置性と安定性を決める
  • 測距方式:距離レンジと誤差特性を決める

まず用途から必要な情報(有無、距離、色、形)を決め、次に対象物の特性と環境条件で方式を絞ると、ムダな比較を減らせます。最終的には「誤検出をゼロにする」よりも「誤検出しにくく、起きても復帰が早い」設計が現場に強いです。

素子・方式・測距の3軸で候補を出し、対象物サンプルでテストしながら余裕度を確認する流れが、失敗しない光センサー選定の基本になります。