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VCSEL搭載光トランシーバーと光インターフェースの動向

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本記事では、VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)を用いた光トランシーバーと光インターフェースの最新動向について解説します。VCSELの基礎から光トランシーバーのフォームファクタ、主要メーカーの取り組み事例、導入時の選定基準などを総合的にまとめました。次世代の高速かつ高効率な光伝送技術を理解するための内容となっていますので、ぜひご参考ください。

VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)とは

まずはVCSELの基本構造・動作原理やエッジ発光レーザーとの違いについて整理し、特長を把握しておきましょう。

VCSELは半導体レーザーの一種であり、垂直方向の共振器構造を持つ点が大きな特徴です。光をチップの面方向から取り出すことで、従来のエッジ発光レーザーより小型化がしやすく、効率の高い光出力を得ることができます。さらに、消費電力が低く発熱量も少ないため、高密度な実装が求められるサーバやネットワーク機器で注目を集めています。

構造と動作原理

VCSELの構造は、複数層の反射鏡と活性層を垂直に積層することで形成されます。レーザー発振は、結晶内部に設けられた非常に短いキャビティで起こり、その結果、狭いビーム径の光を面方向から取り出すことが可能です。こうした構造により、安定した光出力を低い動作電流で得ることができ、コストや省電力性の観点からも優位性があります。

エッジ発光レーザーとの比較

エッジ発光レーザーはデバイスの端面方向に光を取り出す方式をとるため、大きな放熱設計を必要とする場合があります。一方、VCSELは発光面が垂直方向であることから熱管理が比較的容易で、小型化や低消費電力化に向いていると言えます。さらにビーム形状が円形に近く取り扱いやすい点も、光インターフェース全般における大きなメリットの一つです。

光トランシーバーの基礎知識

インターネットやデータセンターで用いられる光トランシーバーの動作原理や役割を把握することは重要です。

光トランシーバーとは、電気信号を光信号へ、または光信号を電気信号へ変換するためのモジュールです。具体的には、送信側ではVCSELなどのレーザー光源を用いて電気信号を光に変換し、受信側では受光素子によって光信号を再び電気信号に変換します。こうした変換を効率よく行うことで、大容量のデータ通信が可能となり、データセンターや高速インターネット接続などのインフラを支えています。さらにフォームファクタの変化に伴い、高ポート密度や省電力化への要求が強まっており、新しい規格や技術も積極的に登場しています。

電気と光のインターフェース技術とフォームファクタ

光トランシーバーを実装するうえで考慮すべきフォームファクタや、光と電気のインターフェース変換技術について見ていきましょう。

ネットワーク機器における光トランシーバーの選定では、ポート当たりの消費電力や冷却効率、実装面積などが重要ポイントです。フォームファクタごとに性能や寸法要件が異なるため、使用する機器やサーバラックの構造に応じて最適なものを選ぶ必要があります。さらに近年ではVCSELなど低電力型の光源開発が進み、コ・パッケージ型の光インターフェース設計(CPO)などが高い注目を集め始めています。

Small Form Factor Pluggable (SFP)から最新規格への移り変わり

かつてはSFPが主流でしたが、より高速かつ高密度な通信を実現するために、QSFPやOSFPなどのフォームファクタが次々と導入されています。QSFPは4チャネル分のデータを並列伝送できるため、高スループットを求めるデータセンターで重宝されています。さらにOSFPではより高い伝送速度とポート密度を実現し、400Gや将来的には800Gなどの超高速通信を見据えたコネクタ規格も登場しており、光トランシーバーの可能性を大きく広げています。

VCSELを用いた光伝送技術の利点

VCSELを用いることで得られる高効率化や小型化などの恩恵を、具体的なメリットとして解説します。

VCSEL搭載の光トランシーバーは、小型化と省電力化を両立できる点が大きな魅力です。より短いキャビティでの発振特性により、エッジ発光レーザーに比べて熱管理が容易でクーリングコストを抑えられます。さらにビーム径が狭く、レンズやファイバ結合の設計がシンプルになるため、生産性と信頼性の向上にもつながっています。

データセンターや5Gにおける活用事例

高速化が求められるデータセンターや5Gインフラを中心に、VCSEL搭載光トランシーバーが果たす役割について紹介します。

データセンターでは膨大なトラフィックを処理するため、大容量・高速通信が必須となっており、VCSELを搭載した光トランシーバーの採用が加速しています。とくに1.25 Gbps以上の高速通信が求められる環境での運用では、軽量かつ高耐久なVCSELが性能を発揮します。一方、5Gネットワークでは、基地局間のフロントホールやバックホールで低遅延かつ高帯域幅の伝送が不可欠であり、ここでもVCSEL光源を用いたトランシーバーが次世代のインフラを支える存在となっています。

主要メーカーの光インターコネクトへの取り組み

代表的なメーカーの技術動向や最新の製品ラインナップ、研究開発の方向性をチェックしてみましょう。

大規模データセンター向けのASICやネットワーク機器を手がける主要メーカー各社では、Co-Packaged Opticsをはじめとする次世代光インターコネクト技術の研究開発が進められています。とくにCo-Packaged Optics(CPO)のようなモジュール設計は、ASICとの近接配置により伝送距離の短縮と効率化を目指す動向として注目度が高まっています。こうしたメーカーの最新製品は、VCSELを活用することでフォームファクタをさらに縮小し、高速・大容量の光インターフェースを実現しようとしています。

導入時に押さえておきたいポイントと選定基準

VCSEL搭載の光トランシーバーを選定する際に重要となる、仕様や規格、システムとの適合性などを整理します。

VCSELを搭載したトランシーバーを導入するうえでは、製品仕様や認証規格に加えて、将来的なシステム拡張を見据えた設計が重要です。通信速度や波長帯といった基本的な要件から、省電力性や発熱特性、そして交換の容易性までも考慮する必要があります。特に周辺機器との互換性や、複数ベンダーから調達する際の統一規格への対応なども、実際の運用を考えたときに大きなポイントとなります。

製品の仕様と認証規格

VCSELを搭載した製品の中には、国際的な規格や業界団体による認証を取得しているものがあります。例えば伝送速度や光波長、耐久性などが標準化されていると、機器同士の互換性が高まり導入の際のリスクを軽減できます。設計段階でこれらの規格を確認することで、導入後のトラブルを回避し、確実な性能を引き出すことにつながります。

システム拡張性とメンテナンス性

光トランシーバーの交換や追加拡張が容易かどうかは、長期運用のコストを抑えるうえで重要な要素です。フォームファクタが標準化されている製品を選ぶことで、異なるベンダーの機器への移行やリプレースがスムーズにできます。将来のアップグレードを見越しておくことで、接続性の確保と高い可用性を実現し、通信インフラ全体の維持管理が効率的になります。

お問い合わせ

製品導入や詳細仕様確認を検討される場合は、各メーカーや専門ベンダーへの問い合わせをおすすめします。

具体的な導入に際しては、機器の仕様や価格帯、アフターサービスを含めた情報収集が欠かせません。必要に応じて、進化の速い分野の最新トレンドや信頼できるサポート体制の有無を確認することで、より適切な製品選択が行えます。サプライヤーやディストリビューターの情報は公式サイトや展示会などでも得られるため、積極的にコンタクトを取ってみましょう。

まとめ

VCSEL搭載光トランシーバーは、小型・高効率であることから、データセンターなどの大規模インフラから5G、さらには新たな光インターフェース技術まで幅広く応用されています。特に低消費電力化や高密度化が進むネットワーク運用環境では、VCSELの特性が非常に有用で、メーカー各社が積極的に製品開発に取り組んでいます。今後も新しいフォームファクタの登場やCo-Packaged Opticsの進化によって、さらに高速化と高信頼性を備えた光伝送技術への期待がますます高まるでしょう。

また、このような高速・高密度な光インターフェースを安定して実装・評価するためには、光軸精度の管理や光学部品のアライメント確認が欠かせません。オートコリメーターを用いた高精度な角度測定および光軸評価は、光トランシーバーや関連光学部品の品質確保において有効な手法の一つです。光学調整や検査工程の精度向上を図るうえで、カツラ・オプト・システムズのオートコリメーターは、信頼性の高い評価構築に貢献します。