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レーザー変位計とレーザーオートコリメーター(チルトセンサ)用途や選び方を徹底解説

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レーザーを用いた非接触測定技術の重要性が高まる中、レーザー変位計とレーザーオートコリメーターは多様な分野で活用され、正確かつ迅速な測定を実現しています。これらは測定対象へ触れずに距離や角度を計測できるため、非常に高い生産効率を期待できます。

一方で、機器の特性や導入コスト、設置環境など、検討すべき要件は多岐にわたります。それぞれの測定原理や活用シーンを理解し、現場のニーズに合った機器を選定することが重要になります。

本記事では、レーザー変位計とレーザーオートコリメーターの基本から、測定方式やメリット・デメリット、導入事例までを総合的に解説します。最適な測定機器の選定に向けた参考としてお役立てください。

レーザー変位計の基本:原理と特長

レーザー変位計は非接触で対象物の変位や距離を計測でき、製造業から研究開発まで幅広い分野で利用されています。

一般的に装置から発光されたレーザー光を対象物に照射し、反射光の位置やタイミングを検出することで距離を算出します。接触式の変位センサと比べ、摩耗や破損のリスクが少なく、高い精度で安定した計測が可能です。また、対象物が高速で移動していてもリアルタイムに計測できるため、生産ラインでの検査プロセスなどにも取り入れやすいメリットがあります。

使用する測定原理によって、測定可能な距離や分解能が異なる点に注意が必要です。導入前に測定レンジと精度のバランスを検討し、用途に合った機種を選ぶことが高い測定効果を得るうえで欠かせません。

レーザー変位センサの仕組み

レーザー変位センサは、発光部から照射したレーザー光が対象物の表面で反射する性質を利用して距離を測定します。反射位置や時間差を高精度に読み取ることで、対象物の厚みや上下方向の移動量も測定可能です。

三角測距方式ではレーザー光と受光素子の位置関係から距離を演算し、干渉方式では光の干渉パターンを解析します。いずれの方式も非接触測定であるため、対象物を傷つける心配がほぼなく、精密部品やデリケートな素材の検査に適しています。

また、近年はセンサ本体の小型化が進み、自動車部品の組立ラインや電子基板の加工工程など、スペースが制約される現場でも設置しやすい点が評価されています。

代表的な測定方式と精度

三角測距方式は構造が比較的シンプルで、導入コストを抑えたい現場でよく選ばれます。対象物との距離や角度によって測定精度が変化するため、検査内容に合った設置や補正が重要です。

干渉方式は光の波長を利用して干渉縞を生じさせ、変位を正確に測定します。分解能が高く、微小な変位まで測定できる一方で、装置がやや高価となり、設置や調整には専用のノウハウが必要です。

レーザーオートコリメーターの基礎知識

オートコリメーターは角度測定に特化した測定機器で、レーザーを用いることでさらに高い分解能と操作性を実現しています。

従来のオートコリメーターは可視光を使用し、視認した目盛りを読み取る方式が多く、作業者のスキルが測定精度に影響することもありました。しかしレーザータイプでは、反射光の角度変化を電気的に検出するため、デジタル読み取りによる高精度かつ安定した測定が可能です。

主に精密光学部品の角度調整や、光軸の検査などに用いられ、半導体製造装置や研究開発などの現場で重宝されています。レーザー光源の使用により、小型化と省スペース化が進み、リアルタイムでの計測が必要な場面でも大きな効果を発揮します。

従来型オートコリメーターとの違い

従来型は光学式の接眼部を通じて反射像のずれを目視で確認する方法が一般的でした。作業者の視認精度や照度条件の影響を受けやすく、繰り返し測定の際にばらつきが生じることがありました。

レーザーオートコリメーターでは、レーザー光源を採用することでデジタル化が進み、小さな角度変位でも電子的に高い分解能で検出できます。さらに、機構的にも簡素化しやすく、小型化によって設置性や操作性が向上した点が大きな特徴です。

反射光学を利用した測定の仕組み

オートコリメーターはターゲットに向けて平行光を照射し、その反射光から角度を読み取る仕組みです。特にレーザー光は直進性が高いため、わずかな方向変化でも正確に検出できる利点があります。

表面が鏡面に近いほど測定しやすく、高精度な結果が得られますが、非鏡面であってもミラーを追加して測定可能な場面があります。各種製造工程での角度測定や光軸の合わせ、さらには小型機器の組立検査など、幅広い用途に応用されます。

レーザー変位計とレーザーオートコリメーターの比較

どちらも非接触での計測が可能ですが、得意分野や導入の目的が異なるため、必要となる性能を見極めながら比較検討することが重要です。

レーザー変位計は位置や変位を高精度で測定するのが主な目的であり、厚み計測や段差検出などに強みがあります。これに対し、レーザーオートコリメーターは角度の計測を得意とし、一台で鏡面の角度を正確に把握できるのが特徴です。

導入コストはどちらも機能や精度のクラスによって大きく変わりますが、一般的には高度な角度測定を要する場合はレーザーオートコリメーターの方が高価となる傾向があります。反面、複雑な計測システムや演算が不要な場合はメリットが大きいでしょう。

測定原理・測定範囲・精度の比較

レーザー変位計は三角測距や干渉方式により、ミクロンオーダーから数メートル先まで測定可能なモデルがあります。一方でレーザーオートコリメーターは角度測定用に設計されており、秒単位の高精度を発揮します。

変位計は大きな変位量を計測する際に適しており、オートコリメーターは極めて小さな角度変化を高い安定度で捉えるのに適しています。用途に合わせ、最適な測定範囲と精度を選ぶことが重要です。

メリット・デメリットと導入コスト

レーザー変位計は部品の厚さ計測などで重要な場面も多く、複数台を組み合わせれば角度情報も算出可能ですが、設置スペースや演算処理が増えるなどのデメリットがあります。

レーザーオートコリメーターは一台で角度測定を行えるため、省スペース化や測定工程の簡易化が期待できます。ただし鏡面への照射が前提となることが多く、高精度品は装置価格が高額になりがちです。

主要な活用例:長さ・角度・穴径・座標などの多様な測定

レーザー測定機器は、製造ラインや研究機関などで幅広く活用され、品質保証や工程管理に欠かせない存在となっています。

レーザー変位計はワークの厚み測定や段差測定において重要な役割を果たし、単純な高さ情報の取得から複数台による形状測定まで柔軟に対応できます。生産ライン上での自動検査にも組み込みやすく、高速かつ連続的な計測が可能です。

レーザーオートコリメーターは高精度な角度測定を得意としており、光学装置のアライメントや機構部品の組立精度検査などに多く使われます。特に微小な傾きの検出が必要な場合は、リアルタイムに結果を反映できるメリットを活かし、稼働効率の向上が期待できます。

測定環境と注意点:温度変化や振動への対策

高精度な計測結果を得るためには、設置環境の安定化と定期的なメンテナンスが欠かせません。

温度変化によって機器内部の光学系に微細なずれが生じ、計測精度が低下することがあります。そのため、可能であれば恒温室や室温管理された環境下で運用することが推奨されます。

振動や衝撃も計測の再現性に悪影響を与える要因です。床の補強や防振台の導入、対象物を安定して固定する工夫など、現場ごとの対策を講じることで、計測誤差を最小化できます。

測定精度を維持するための設置環境

装置設置時にはレーザー光の光路に異物が入りにくいクリアなスペースを確保することが重要です。空気の流れや粉塵、オイルミストなどの汚染要因をできるだけ除去することで、計測への影響を抑えられます。

温度コントロールでは、急激な温度変化を避けることが大切です。工場全体で空調環境を整えたり、体温をもつ人の出入りを最小限にすることや、測定機器周辺だけでも断熱材を用いるなど、因子を可能な限り安定させる配慮が必要です。

保守・管理と校正の要点

定期的なメンテナンスと校正は、測定精度を担保するうえで欠かせません。特に高精度機器では、わずかな光学ズレやレーザー光源の出力変動でも大きな誤差につながります。

メーカーや認定機関による校正サービスを定期的に受けることで、装置の精度状態を把握し、万が一の不具合も早期に発見できます。また、日常的なクリーニングや動作チェックなどの簡易点検も重要です。

メーカー選定とサポート体制のチェックポイント

導入後の運用を円滑に続けるためには、機器の性能だけでなく、サポートや保守体制の充実度も重視する必要があります。

メーカー選びでは、製品群の豊富さや技術サポートの手厚さが重要となります。同じ測定精度でも、ユーザーインターフェースやソフトウェアの充実度が大きく異なる場合があるので、操作性やデータの取り扱いやすさもしっかり確認することが大切です。

サポート・アフターサービスの重要性

計測機器は使用頻度が高いほど、トラブルが発生した際のダウンタイムが大きな損失に直結します。サポートセンターの連絡体制やサービス拠点の充実度を事前に確認しておけば、問題発生時のリカバリーがスムーズに進みます。

ソフトウェアアップデートや定期校正も、生産品質の安定や装置寿命の延長に役立ちます。購入時のコストだけでなく、運用中のサポート体系やアフターサービスまで含めて総合的に検討することが重要です。

まとめ・総括

レーザー変位計とレーザーオートコリメーターは、非接触で高い精度の計測を実現する要となる装置です。それぞれが得意とする分野や測定原理を理解し、最適な機種を選ぶことが生産性や品質の向上につながります。

用途によって、変位計は厚みや段差などの量的測定に、オートコリメーターは精密な角度測定に最適です。導入には機器選定だけでなく、環境対策やサポート体制の検討も含めて、総合的に評価する必要があります。

当社ではレーザー変位計とレーザーオートコリメーターの2つの機能を1つに統合した変位チルトセンサという製品を扱っております。角度だけでなく変位も測定が必要なケース、もしくは変位だけの測定であったが、角度測定も必要になったなど、従来の測定内容に追加しても測定要求があり、検討しているなどございましたら一度お問い合わせからご連絡ください。