変位計とは?仕組み・種類・用途・選び方をわかりやすく解説
変位計(変位センサ)は、物体の位置変化=変位を高精度に測定する計測機器です。移動量だけでなく、段差・反り・すきま・厚みなどの評価にも使われ、品質管理から研究開発、設備のフィードバック制御まで幅広く活躍します。
一方で、測定方式(接触/非接触)や対象物(材質・表面状態)、設置環境(振動・粉塵・油・水)によって得意不得意が大きく変わるため、用途に合った選定と設置が重要です。この記事では、変位計で「何が測れるか」から、他センサとの違い、種類と仕組み、用途例、選び方、設置の勘所、うまく測れないときの対処までを整理して解説します。
変位計(変位センサ)で測れるもの
変位計は「物体の位置がどれだけ変化したか」を基準に、距離・すきま・段差などの幾何量を高精度に捉えます。測定対象と測り方を理解すると、用途展開が一気に広がります。
変位計が直接測っているのは、センサと対象物の相対位置の変化です。この変化を連続的な数値として出せるため、ある瞬間の位置だけでなく、時間に対する動きの波形や振動の大きさまで評価できます。
距離、すきま(ギャップ)、高さ、段差、厚み、反り、平坦度、たわみ、開口変位などは、単点の変位をそのまま使うか、複数点の変位を組み合わせて算出します。例えば厚みは上下から2台で挟む、反りは複数点を並べて面の形を推定する、といった考え方です。
重要なのは、変位計は万能な物差しではなく、対象物の材質や表面状態、測定距離、取り付け剛性、外乱の影響を強く受ける場合があることです。測りたい量を変位に分解し、どの要因が誤差になりうるかを先に洗い出すと、安定した測定に近づきます。
変位と寸法測定の違い
変位は「ある基準位置からの変化量」、寸法測定は「形状そのものの大きさ(外径・幅・厚みなど)」を求める考え方で、目的・基準の置き方・測定系が異なります。
変位はゼロ点(基準)をどこに置くかで意味が決まります。例えばステージが基準から何ミクロン動いたか、加工中にワークがどれだけたわんだか、といった「変化」を見るのが中心です。
寸法測定は、基準を物体そのものの両端や形状に置き、外径や幅などの絶対量を求めます。変位計でも寸法は測れますが、その場合は治具や複数センサで基準を作り、寸法に変換する設計が必要です。
現場で混同しやすいのは、変位計を1台置けば厚みが測れると思ってしまう点です。実際には、センサが見ているのは一方向の距離なので、ワークの姿勢変化(傾き、振れ)や基準面の変形があると、厚みではなく位置の変動が混ざります。寸法として使うなら、基準の取り方と誤差要因の分離が要になります。
変位計と他センサ(光電・近接)の違い
光電センサや近接センサは主にON/OFF検出や有無判定に強い一方、変位計はアナログ量として位置変化を連続的に測れる点が本質的な違いです。
光電センサは「遮られた」「反射があった」といった状態の変化を安定して検出するのが得意で、部品の有無や通過検知に向きます。近接センサも金属の接近を検知して、装置の原点検出や位置の目安に使われます。
一方、変位計は距離や位置を連続値で出力できるため、微小な変化量の監視や、規格幅に対する合否判定、さらにはサーボ制御のフィードバックにまで使えます。ON/OFFでは見えない「どのくらいずれているか」「時間的にどう揺れているか」が分かるのが価値です。
ただし、連続値が出る分だけ、ノイズや取り付けの影響も結果に現れます。誤差が出たときに原因がセンサなのか、機械剛性なのか、ワーク条件なのかを切り分けられるよう、測定目的に対して必要十分な精度と環境耐性のバランスで選ぶことが重要です。
変位計の種類と仕組み
変位計は接触式と非接触式に大別され、光・電磁気・音波などの原理で距離変化を電気信号に変換します。代表的方式の特徴を押さえると選定が容易になります。
変位計選定の最短ルートは、測りたい対象と環境から「候補方式を絞る」ことです。万能な方式はなく、例えば金属なら渦電流が強い一方で、樹脂やガラスは測れません。逆に光学式は対象が広い一方、表面反射の癖がそのまま測定難易度になります。
仕組みとしては、接触式は機械的な変位を内部の変換器で電気信号に変えます。非接触式は、光の反射、電磁誘導、静電容量、超音波の反射時間など、距離に応じて変わる物理量を計測して距離へ換算します。
カタログ仕様の分解能や直線性だけで決めると、現場で「値が暴れる」「再現しない」が起きがちです。対象物の表面状態、温度変化、振動、取り付け角度、配線ノイズまで含めた総合精度で考えると、方式ごとの得意不得意が腑に落ちます。
接触式(リニアゲージなど)
接触式は測定子をワークに当て、押し込み量や追従量を機械的に取り出して電気信号に変換します。高さ、厚み、反り、段差といった固体ワークの検査で定番で、表面の反射率に左右されないのが強みです。
環境耐性も比較的高く、粉塵やミストがある現場でも安定しやすい一方、ワークに触れるため傷やへこみのリスクがあります。特に柔らかい材料や鏡面仕上げでは、測定圧の影響が無視できません。
もう一つの注意点は追従性です。ワークが高速で動く、振動している、段差が急峻といった条件では、測定子が追従できずに誤差や跳ねが出ます。必要な応答速度と、許容できる接触の影響を天秤にかけて選びます。
LVDT(差動トランス)式
LVDTはコイルと可動コアの位置関係で誘導電圧が変化することを利用し、変位を電気信号として取り出します。直線性が得やすく、産業用途で実績が多い方式です。
安定して高分解能を狙える反面、ストローク範囲には設計上の限界があり、レンジ外で使うと直線性が崩れます。また温度変化や経時変化によるドリフトがゼロではないため、基準取りや校正の運用が品質を左右します。
現場で効くポイントはノイズ対策です。長い配線、インバータやサーボが近い環境では誘導ノイズが乗りやすいため、シールドや接地、配線ルート、信号のフィルタリングを含めて測定系として設計するのが安定化の近道です。
光学式(レーザー式)
光学式はレーザーなどの光を照射し、反射光の位置や焦点状態、干渉状態から距離を求めます。高速応答と高精度を両立しやすく、材質の対応範囲も広いため、製造ラインから研究用途まで使われます。
ただし光は表面の性質を正直に拾います。黒いワークは反射光量が不足しやすく、鏡面は反射が一方向に偏って受光しにくいことがあります。透明体は内部反射や透過で誤検出が起きる場合があり、専用モードや専用機種の選定が必要です。当社の変位チルトセンサも測定対象物には条件があり、例えば代表的な製品の場合、表面は鏡面状態で反射率80%以上を推奨しております。
実務上のコツは、測定スポット径と取り付け姿勢です。スポットが大きいと細い段差が平均化され、スポットが小さいと表面粗さや振動の影響が増えます。さらに外乱光やレンズ汚れも品質に直結するため、遮光、保護窓、エアパージなどの対策をセットで考えます。
渦電流式
渦電流式は、金属近傍で生じる渦電流によってセンサコイルのインピーダンスが変化することを利用して距離を測ります。非接触でありながら水、油、粉塵に強い傾向があり、加工機周辺のような厳しい環境で重宝されます。
強みは金属ワークの微小変位を安定して捉えやすい点ですが、対象が金属に限定されます。また材質差(アルミ、鉄、ステンレスなど)や磁性の有無で感度が変わり、同じ距離でも出力が変わることがあります。
温度変化も無視できません。ワークや治具が熱で膨張すると距離が変わるだけでなく、材料特性の変化で感度もわずかに変動します。高精度用途では、材質を固定する、温度条件を管理する、実機条件で校正する、といった運用が効きます。
静電容量式
静電容量式は、センサ電極と対象物の間の静電容量が距離に応じて変化することを利用します。ナノメートルからサブミクロン領域の高分解能と高安定を実現しやすく、精密位置決めや微小振動の計測で定番です。
一方で、基本的に導体や半導体が対象になります。また油膜や水分、汚れが介在すると静電容量が変わってしまい、距離変化と区別できなくなります。清浄度の管理が性能の一部だと考えるのが安全です。
実装面ではケーブル取り回しが重要です。静電容量は微小な変化を測るため、ケーブルの動きや周囲の電界変動がノイズになりやすい傾向があります。固定配線、シールド、適切な接地を徹底すると、再現性が大きく改善します。
超音波式
超音波式は超音波を出して反射を受け取り、到達時間などから距離を算出します。光学特性に影響されにくいため、色の濃淡や反射率の違いで測定が難しい対象でも使えることがあります。
比較的長距離を測れる一方、分解能や応答速度は光学式や渦電流式に比べて限界があります。高速ラインでの微小段差測定などには不向きで、用途の見極めが重要です。
空気中を伝わる方式なので、温度や湿度、風の影響を受けます。安定させるには、温度補正の有無を確認し、気流が当たらない配置にするなど、環境側の整備も含めて設計します。
変位計の用途例
変位計は「測って終わり」ではなく、位置決めや合否判定、制御へのフィードバックなど、工程の安定化に直結する用途で多用されます。
変位計は品質検査だけでなく、装置の性能を引き出すための制御センサとしても使われます。特にミクロン単位の位置決めやギャップ管理では、モータや機構の指令値だけでは誤差を吸収できず、実測のフィードバックが効きます。
また、製造ラインでは「測定値を記録してトレーサビリティを確保する」だけでなく、「測定結果で条件を補正して不良を未然に防ぐ」方向に価値が移っています。変位を安定して取れると、ばらつきの原因が見えるため、工程改善にもつながります。
用途ごとに必要な応答性、レンジ、耐環境性が変わるため、測りたい現象を時間軸で捉えることが重要です。ゆっくり変形するのか、瞬間的な振動なのかで、適する方式と設定が大きく変わります。
位置決め・位置制御
ステージやアクチュエータのZ位置、工具とワークのギャップなどを変位計で検出し、サーボ制御へフィードバックします。これにより機構のバックラッシュや熱変位、荷重変動によるズレを補正できます。
代表例として、ピエゾステージの閉ループ制御があります。指令値通りに動いているつもりでも、負荷や温度で実際の移動量は変わるため、変位計で実位置を監視して追い込みます。
ロボット先端の位置補正や、ヘッド高さ一定制御のように、ワーク側がわずかにうねる工程でも有効です。ここでは応答速度と遅れが性能を決めるため、制御周期に見合うセンサとフィルタ設定が要になります。
寸法測定・外観検査
高さ、段差、厚み、反り、平坦度を数値化し、規格判定や記録に使います。外観検査といっても画像だけでは定量化しにくい「高さ方向の差」を変位計が埋めます。
例えば基板の反りは、画像では見えても、工程条件との相関を取るには数値が必要です。複数点の変位を取れば、平均的な反りだけでなく、局所的なうねりも把握できます。
塗布高さや部品段差の検出では、測定スポット径や走査方法が重要です。見たい形状よりスポットが大きいと差が薄まり、逆に小さすぎると表面粗さや振動が目立つため、目的に合わせた空間分解能の設計が必要です。
生産ラインの自動化・フィードバック制御
ライン上で連続測定し、加工条件や搬送を自動補正する用途です。測定は検査工程に置くだけでなく、加工の直後や加工中に入れると不良流出よりも不良発生を抑えやすくなります。
例として、ローラ間ギャップ管理や、圧延、研磨の補正があります。変位の偏りが見えれば、工具摩耗や温度上昇の影響を早期に検知でき、止める前に条件を戻せます。
この用途では、センサ単体の精度だけでなく、サンプリング同期、トリガ、信号処理遅れが重要です。ライン速度と測定周期、制御周期が噛み合っていないと、正しい補正ができず、かえってばらつきを増やすことがあります。
亀裂・たわみなど構造物の変形測定
橋梁や梁、コンクリート構造物の長期モニタリングや負荷試験で、たわみ量や亀裂の開口変位を測定します。製造現場とは異なり、耐候性と長期安定性が価値になります。
現場では温度変化が大きく、構造物自体も熱で伸縮するため、温度補償や基準点の設計が欠かせません。固定治具がわずかに緩むだけでもデータの意味が変わるため、取り付け方法の妥当性が測定品質を決めます。
データ収集も重要で、ロガーや通信、電源の確保、欠測時の扱いまで含めてシステムとして設計します。変位そのものより、長期トレンドと異常の検知が目的になることが多いです。
変位計のメリット・デメリット
高精度・高速・非接触などの利点がある一方、対象物特性や環境外乱の影響を受けやすい方式もあります。導入前に長所と制約を整理します。
メリットは、位置変化を連続量として捉えられることです。微小なズレや振動を数値で見える化でき、合否判定だけでなく、工程のばらつき要因の特定や制御の高度化に直結します。非接触式を選べば、ワークを傷つけずに高速測定できる点も大きな利点です。
デメリットは、測定値が測定系の状態を反映しやすいことです。取り付け剛性が低い、ケーブルが動く、振動が乗る、温度が揺れる、表面状態が変わると、変位として数値に現れます。見かけの分解能が高いほど、この影響は目立ちます。
もう一つの落とし穴は、目的の量とセンサが見ている量が一致していないケースです。例えば厚みを測っているつもりが、実際はワークの傾きや搬送の上下動を拾っていることがあります。変位計を導入するときは、測りたい量を変位の組み合わせに分解し、誤差要因を分離できる構成にするのが成功の条件です。
変位計の失敗しない選び方
方式の好みよりも、要求精度・測定レンジ・ワーク特性・環境条件・出力/接続の要件を先に固めると、選定ミスを減らせます。
変位計選定で最初に決めるべきは、何をどの条件で測り、結果を何に使うかです。検査で合否を出すのか、制御で追従させるのか、監視でトレンドを見るのかで、必要な応答速度と安定性が変わります。
次に、ワーク特性と環境条件を仕様に落とし込みます。材質や表面状態だけでなく、粉塵やミスト、温度変動、振動、外乱光など、現場の癖が方式の得意不得意を決めます。
最後に、接続要件です。PLCへ入れるのかPCで解析するのか、同期が必要か、トリガで取るのかで、出力形式やサンプリングの条件が決まります。ここを後回しにすると、センサは合っているのにシステムとして使いにくい、という失敗になりがちです。
精度(分解能・直線性・繰り返し精度)で選ぶ
必要な精度は、公差や管理幅から逆算します。例えば管理幅が0.1 mmなら、分解能が0.01 mmあれば十分なこともありますが、繰り返し精度が悪ければ合否がぶれます。分解能だけでなく、繰り返し精度を優先して見るのが実務的です。
直線性はレンジ内での誤差の出方を示します。レンジの端を使うほど誤差が増える方式もあるため、使いたい範囲での直線性を確認し、余裕のあるレンジ選びをします。
さらに、総合精度で見積もることが重要です。温度ドリフト、取り付け角度のズレ、ケーブルノイズ、ワークの反射ばらつきなどが積み上がると、カタログ値より実使用誤差が大きくなるため、評価テストで現物確認するのが確実です。
測定距離(測定レンジ・基準距離)で選ぶ
測定レンジは、想定する変位量に対して余裕を持たせます。搬送の上下動や取り付け誤差、ワークのばらつきがあると、レンジを簡単に食い潰すためです。レンジを超えると欠測や飽和が起き、制御や判定が破綻します。
基準距離(スタンドオフ)は設備レイアウトに直結します。センサを近づけられないなら長距離対応が必要ですし、短距離で超高精度が必要なら静電容量式や短レンジ光学式など候補が絞られます。
また、測定スポットや測定視野の条件も距離とセットです。距離が変わるとスポット径が変わる機種もあるため、測りたい形状の大きさに対して適切な距離で使えるかを確認します。
測定ワーク(材質・色・形状・表面状態)で選ぶ
金属限定で環境が厳しいなら渦電流式が強力です。導体や半導体で超高分解能が必要なら静電容量式が候補になります。材質混在や汎用性を重視するなら光学式が選ばれやすいですが、表面状態の影響を見込む必要があります。
黒、鏡面、透明は光学式で難易度が上がりやすい代表例です。黒は光量不足、鏡面は反射方向の偏り、透明は内部反射や透過が課題になります。専用モデルや設定で改善できる場合もあるため、実ワークでの検証が前提です。
形状も重要で、曲面や細いエッジはスポットの当たり方で値が変わります。粗面は散乱が増え、測定値の揺らぎとして出やすいので、フィルタや平均化だけでなく、取り付け姿勢や測定位置の工夫が必要です。
設置環境(振動・温度・粉塵・油・水)で選ぶ
粉塵やミストが多い現場では、センサ前面の汚れが測定不良の主要因になります。保護構造、保護窓、エアパージ、清掃性まで含めて選び、メンテナンス前提の設計にします。
振動が大きい場合は、センサが見ているのがワークなのか治具の揺れなのかが混ざります。取り付け剛性を上げる、基準面を近くに置く、必要なら相対変位を取る構成にするなど、機械設計側の対策が効きます。
温度変化が大きい場合は、ウォームアップ、温度補償、材料の熱膨張を考慮します。方式としては渦電流式や接触式が現場に強いことも多いですが、要求精度と環境の折り合いを評価テストで確認するのが確実です。
出力方式(アナログ・デジタル・通信)で選ぶ
接続先がPLC中心なら、アナログ電圧や電流出力が扱いやすい一方、ノイズや配線長の影響を受けます。デジタルI/Oは合否や閾値判定に向き、通信は多点管理や設定の一括運用に向きます。
サンプリング周期と同期は、動くワークでは特に重要です。搬送エンコーダと同期する、外部トリガで同じタイミングを取るなど、データの意味を揃える仕組みがないと、比較可能な品質データになりません。
また、オフセットやスケーリングの設定で、mm換算やゼロ点調整をどこで行うかも決めておくと運用が安定します。センサ側、アンプ側、PLC側、PC側のどこで処理するかで、保守性とトラブル時の切り分けやすさが変わります。
変位計の設置方法と使用条件
カタログ性能は正しい設置と基準取りが前提です。取り付け角度、固定剛性、基準面の作り方、信号の扱いまでを押さえると再現性が上がります。
変位計はセンサ単体ではなく、治具、ワーク、配線、信号処理を含めた測定系として性能が決まります。特に高分解能の機種ほど、機械のたわみやケーブルの微小な動きがそのまま測定値に出ます。
設置では、測定軸とワーク面の関係を正しく作り、基準距離でゼロ点を取ることが基本です。さらに、ワークの傾きや振れが起きるなら、単点測定で済ませず複数点で分離する構成を検討します。
信号面では、フィルタや平均化の設定で見かけの安定性は上げられますが、遅れも増えます。検査用途と制御用途では最適値が異なるため、使い方に合わせて設定と確認手順を決めておくことが重要です。
設置の基本(角度・固定・基準取り)
センサの測定軸や光軸は、指定された姿勢でワーク面に向けます。角度がずれると反射条件が変わったり、幾何的に実距離と異なる成分を拾ったりして、再現性が落ちます。
固定は剛性が最重要です。薄いブラケットや長い片持ちで付けると、機械振動やケーブルの引っ張りでセンサ自体が揺れ、ワークの変位と区別できなくなります。できるだけ短く太い支持、基準面に近い取り付けが基本です。
基準取りは、基準距離でゼロ点を合わせ、運用でズレを戻せる手順を作ります。ワーク姿勢変化が大きい場合は、2点や3点の変位から傾きや反りを分離し、見たい量だけを計算する構成にすると、現場でのトラブルが減ります。
負荷時の出力の極性と読み取り
変位計は、押し込み方向で出力が増えるか減るかといった極性が機種や設定で異なります。制御や判定のロジックに入れる前に、ワークを意図的に近づけたり離したりして、正負の向きを確認します。
読み取りでは、フィルタ設定や平均化の窓幅、サンプリング周期が結果を左右します。値が暴れるからと強くフィルタをかけると、段差や急変が丸まり、制御では遅れが増えて不安定になることがあります。
また、オフセットとスケーリングの管理は運用の要です。表示がmmなのか電圧なのか、ゼロ点がどこか、上限下限判定の基準は何かを明確にし、交換や再立ち上げ時に同じ条件へ戻せるようにしておくと品質が安定します。
変位計でうまく測定できないときの対処法
不安定な値や欠測の多くは、反射条件・取り付け・外乱・配線・レンジ設定のいずれかに原因があります。切り分け手順を用意して迅速に復旧します。
まずはレンジと基準距離を確認します。欠測や飽和は、距離がレンジ外に出ているだけで起きます。ワークのばらつき、搬送の上下動、治具のたわみを含めて、実際の最小最大距離がレンジ内かを確認します。
次に、取り付けと環境外乱を疑います。固定剛性が低い、角度がずれている、外乱光が入る、センサ前面が汚れている、エアの風が当たるなど、測定値が揺れる典型要因は現場側にあります。見える化として、センサだけを別の安定した基準物に向けて値が安定するかを確認すると切り分けが早いです。
最後に、配線と信号処理です。シールドや接地、配線ルートを見直し、サンプリング同期やフィルタ設定を確認します。特に制御用途では、安定化のためのフィルタが遅れを生み、結果として値が追従しないケースがあるため、安定性と応答性のバランスを取り直します。
まとめ
変位計は、変位を連続量として高精度に測れるため、検査・制御・モニタリングの中核となるセンサです。方式ごとの適性を踏まえ、要求仕様と現場条件に合う一台を選定・設置することが成功の鍵です。
変位計とは、基準からの位置変化を高精度に捉え、距離、すきま、段差、厚み、反り、たわみなどの評価に展開できる計測機器です。ON/OFF検出のセンサとは異なり、連続値として扱えるため、品質の見える化と制御の高度化に強みがあります。
方式には接触式、LVDT、光学式、渦電流式、静電容量式、超音波式などがあり、対象物の材質や表面状態、必要な分解能、環境条件で適性が大きく変わります。カタログ値だけでなく、実使用時の総合精度を意識することが重要です。
失敗しないためには、要求精度とレンジ、ワーク条件、環境、出力と同期要件を先に固め、正しい取り付けと基準取り、配線と信号処理まで含めて測定系として設計します。用途に合った一台を選び、再現性のある運用に落とし込むことが、変位計を活かす最短ルートです。