社長ブログ

CCDカメラ搭載のチルトセンサ販売終了のお知らせ

販売終了

 

 

拝啓、貴社益々のご清栄の程、お慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを頂き、厚く御礼申し上げます。

さて、この度弊社ではチルトセンサの販売を終了させていただくこととなりました
のでお知らせいたします。永らくご愛顧いただき誠にありがとうございました。

なお、後継機種として超小型チルトセンサを2020年12月に販売を開始いたしました。
今後の代替機種として引き続き弊社製品に一層のご厚情を賜りたくお願い申し上げます。

敬具

<販売終了製品>
チルトセンサ:KT-2000シリーズ

<販売終了理由>

部品供給元におけるCCD素子の生産終了に伴い、部品入手が困難になったため

<販売終了時期>

2021年12月末までの受注分をもって販売終了とさせていただきます。
なお、期日前に部品在庫がなくなった場合、終了時期が早まる場合がございます。
※修理、校正対応は保守部品での対応が可能な場合に限り2026年12月末まで対応いたします。

<後継機種のご案内>

・TM-2070 (CMOSカメラ搭載超小型チルトセンサ : 測定範囲±70分 Repeatability 1秒)

詳細は下記よりお問い合わせください。

開発ストーリー ~ 光ピックアップ光学調整機への挑戦

今回のご紹介いたします光ピックアップ光学調整機は、光ディスクのドライブに内蔵す
る光ピックアップ(OPU)を調整・評価するための装置です。

光ディスクは、1980年代に普及したCDから始まり、1990年代にはDVDがテープメディ
アには無いランダムアクセス性を武器に世の中に広がりました。この普及の過程で主役
を演じたのは日本メーカ、特に電機、電子また化学メーカであり、中でも、光ディスク
のドライブに搭載された信号読み書きデバイスであるOPUの生産は日本メーカ独壇場で
した。そのOPUの生産ラインにおける調整・評価方法は、1980年代は「電気特性」を測
定し組立調整を行う装置(電特調整装置)が主流でした。しかし、電特調整装置は調整
時間が長い、不良原因の追究が難しい等の問題点があり、市場から改善が求められてい
ました。そこで、この問題を解決すべく、当社は保有する光学技術を使ってOPUの「光
学特性」を測定し組立調整を行う装置(光学調整装置)/光ピックアップ光学調整機を
開発しました。

開発の最大目標は、電気特性調整装置の性能を大幅に上回るパフォーマンス(高速調
整)を実現することであり、それを達成するには従来手法とは全く違う手法で開発検討
を行う必要がありました。
電特調整では、Jitterと言う信号の品質を表す指標を使ってOPUの調整を行います。
しかし、Jitterの最良点は100点満点ではなく、調整されるOPU個別に70点であったり
80点であったり最良点が異なっています。つまり、最初にOPU個別の最良点を探し出し、
目標を設定する工程が必要になるので、その分の時間のロスが発生します。
一方、光学調整ではOPUから出射されるビームスポットの形状を測定し調整を行いま
す。具体的には、ビームスポットの上下、左右のバランスを取る様に調整を行う方法に
なるので最良点100点が存在することになります。つまり、目標と調整方向が明確であ
るため先述の時間ロスを無くすことは原理的には可能になります。
ただ「高速」調整となるともう一つクリアしなければならない問題があります。焦点
も位置も合っていない状態から1um程度という微小サイズビームスポットを高速で見つ
けることです。この問題に関しては、同一筐体内にいくつかの機能光学系を同時に配
置する光学センサ技術により解決することができました。具体的には、焦点合わせサ
ーボを行う光学系、位置決めサーボを行う光学系を測定光学系と効率良く共存させる
ことで高速焦点、位置決めサーボを実現させる技術です。この結果、電特調整装置の
半分以下の調整時間でOPUの調整を完了することが実現できました。

次に当社ではOPUメーカに対し様々な提案を行いました。
まず、調整機に光学特性の測定機能を追加した装置をOPUメーカに提案しました。
光学特性とは収差という光学部品を透過することで発生する光の歪として表現されま
す。OPUが持つ収差の測定を行うことで原因を特定することが可能となります。この
装置の提供を始めてOPUメーカの品質向上につながりました。
また、前段においてOPU光学系の収差を測定する機能を追加したことで発生している
収差量の実態がわかってきました。解析してみるとOPUの発光部の調整を行うことで提
言可能な収差があることが判明したので、新たにOPU発光部の調整装置を提案しました。
LDとLD光を平行光にするレンズの位置関係を調整することでOPU全体の収差を抑えるこ
とが可能となります。従来LDとレンズの間隔調整は行われて来ましたが他に調整軸は
5軸(チルト2軸、位置2軸と回転)となります。当社では、この5軸と間隔を加えた6軸調
整が可能な装置を開発、OPUメーカに提案しました。ここにも複合機能を搭載した光学
センサ開発技術が生かされました。この装置を導入いただいたOPUメーカからは直行率
の改善につながったとの評価をいただくことが出来ました。

この様に当社ではOPUメーカに対し実際に様々な提案を行いOPUの生産効率、直行率の
改善に寄与してまいりました。現在では、最高水準の光ディスク技術Blu-rayのOPU製
造ラインにおいても光学特性を使った調整、評価は一般的に行われています。当社が繰
り返し行ってきた開発、提案、試作、量産を短期で行うということは当社の企業力とし
て受け継がれています。また、1つの筐体の内部に複合機能を搭載した光学系を開発す
る技術は現在でもスマートフォンのオートフォーカスモータや光学式手振れ防止(OIS)
モータの検査装置に生かされております。

変位チルトセンサ(HT-5550-0001)販売終了のお知らせ

販売終了

 

 

拝啓、貴社益々のご清栄の程、お慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを頂き、厚く御礼申し上げます。

さて、この度弊社では変位チルトセンサ (HT-5550-0001)の販売を終了させていただく
こととなりましたのでお知らせいたします。永らくご愛顧いただき誠にありがとうございました。

センサ終了に伴うご不便に関しまして、お客様に深くお詫び申し上げます。
なお、後継機種のご用意がございますので、引き続き弊社製品に一層のご厚情を賜りたく
お願い申し上げます。

                                     敬具

<販売終了製品>

変位チルトセンサ : HT-5550-0001 + IP-8680-0002

<販売終了理由>

部材供給元における部材の生産終了に伴い、継続供給が困難になったため販売を終了させて
いただくことになりました。

<販売終了時期>

2021年3月31日までの受注分をもって販売終了とさせていただきます。
※修理、校正対応は保守部品での対応が可能な限り2026年3月まで対応いたします。

<後継機種のご案内>

変位チルトセンサ : VH-1100 + IP-8680-0002

以上

変位チルトセンサ(HT-5540-0001)販売終了のお知らせ

販売終了

 

 

拝啓、貴社益々のご清栄の程、お慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを頂き、厚く御礼申し上げます。

さて、この度弊社では変位チルトセンサ (HT-5540-0001)の販売を終了させていただく
こととなりましたのでお知らせいたします。永らくご愛顧いただき誠にありがとうございました。

センサ終了に伴うご不便に関しまして、お客様に深くお詫び申し上げます。
なお、後継機種のご用意がございますので、引き続き弊社製品に一層のご厚情を賜りたく
お願い申し上げます。

                                     敬具

<販売終了製品>

変位チルトセンサ : HT-5540-0001 + IP-8680-0002
変位チルトセンサ : HT-5540-0001 + IP-8680BN
変位チルトセンサ : HT-5540-0001 + IP-8680C1

<販売終了理由>

部材供給元における部材の生産終了に伴い、継続供給が困難になったため販売を終了させて
いただくことになりました。

<販売終了時期>

2021年3月31日までの受注分をもって販売終了とさせていただきます。
※修理、校正対応は保守部品での対応が可能な限り2026年3月まで対応いたします。

<後継機種のご案内>

変位チルトセンサ : VH-1100 + IP-8680-0002
変位チルトセンサ : VH-1100 + IP-8680BN
変位チルトセンサ : VH-1100 + IP-8680C1

以上

開発ストーリー ~ チルトセンサ(オートコリメータ)

 チルトセンサは、当社が取り扱っている製品の中で最も基本的な基幹技術により構成
された製品です。通常、当社の製品はお客様の測定ニーズがきっかけとなり開発するケ
ースが多いのですが、チルトセンサはそれとは違い、当社の製品工場内で光学系の「組
み立て」をするための社内治具として開発されました。

 チルトセンサが誕生したのはWindows95が発売された1995年になります。
Windowsの登場でインターネットの世界が一般的に知られるようになりはじめましたが、
ネット環境といえば電話回線いわゆるアナログ回線がまだ一般的な時代です。大容量の
データをネットワーク上でやり取りすることはまだかなわないため大容量データを扱う
となるとCD-ROMやCD-Rなどを使用されていました。当時の当社はというとそのCD-R
OMのデータを読み取るための「光学ピックアップ」と言われるデバイスを評価する装
置、「スポット評価装置」を主に製造・販売していました。この「スポット評価装置」
はCD-ROMドライブに搭載されている光学ピックアップがCD-ROMのディスク上で作り
出すスポットの形状を光学的に測定、分析することで、ピックアップの総合的な性能を
評価します。また、この「スポット評価装置」を組み立てる際、プリズムやレンズ、機
械部品などの配置を基準面に対し調整する必要がありました。この調整のために考え出
されたものがレーザーを用いたオートコリメータであるチルトセンサだったのです。

 それでは、当初は「組み立て」用の社内治具だったチルトセンサがどのようにお客様の
元でつかわれるようになったかというと、たまたまお客様の工場にチルトセンサを携帯し
装置の「立ち上げ」作業をしていたある日、
お客様より
「カツラオプトさん、その基準確認に使用しているものは何?」
「オートコリメータです。」
「こんな小さいのに?どのくらいの精度で測定できるの?」
 「1/3000度程度の測定ができます。」
「ちょうどそのようなものを探していたよ。じゃあ、2週間後に10台を準備できる?」
(「これだ!!!」)
作業員はその日あった経緯を社内へ報告すると社長はすぐにチルトセンサの製造に取り
掛かりました。1週間後にはチルトセンサ10台を持ち込み、正式採用に至りました。当
時のオートコリメータはサイズが大きく、形状は円筒状であったために機械装置に設置
するのも大変でした。一方、当社のチルトセンサはサイズが小さいため重量も軽く、形
状が箱型あるので機械装置へ設置しやすかったのが採用された決め手でした。

 ただ、他のお客様にも売り込んだもののすぐに売れる商品とはなりませんでした。
それは前述しました通り、当時のオートリメータというと円筒形、大きいものと認知され、
当社の箱型で小さいオートコリメータはその形状が大きく異なり、他のオートリメータの
比較対象として認知されなかったことが要因だと思います。それならばオートコリメータ
の既存概念を壊すべく「チルトセンサ」という新しい名称を付け、お客様にご案内し続け
た結果、徐々に認知度も上がり、多くのお客様からご指示を頂く現在の製品になることが
できたのです。

角度とは

角度というと小学校の頃にあつかった分度器を思い出す方も多いのではないでしょう
か?
「角度」という単語は一般的な辞書では以下の様に定義されています。
 1. 二つの直線や平面が交わって作る角の大きさ。単位はラジアン・度・分 (ふん)
  ・秒。
 2. 物を見る方向。また、物を考える立場。「角度を変えて撮影する」「あらゆる
  角度から検討する」
                        出典:デジタル大辞泉(小学館)

ここでは、物理測定上の意味を定義する「1.」に関して説明いたします。

一般生活において角度は「度」の単位までの表示を使用することが多いですが、工業計
測においてはその下の単位である「分、秒」まで使用されます。具体的な単位は以下に
記述いたします。

  1度:円周の360分の1の角度
  1分:1度の60分の1の角度
  1秒:1分の60分の1の角度

 ただ、分以下の単位となると目視で価を読み取ることは非常に困難になります。
 実際に角度の測定する方法に関しては様々な手法がありますが、代表的なものを以下
に例示します。

1.分度器
 分度器での測定するメリットとしては何といっても手軽さですが、先述した通り、
目視で測定を行うため分以下の値を測定することはできません。

2.プロトラクター
 プロトラクターは金属製の分度器と竿を測定対象に当てて角度を測る測定器具です。
デジタル表示するものもありますが、日曜大工レベルで使用する手工具ですので精度的
には4分の1度程度が限界です。また、測定対象に接触して測定するので小さな物の測定
にも向いていません。

3.オートコリメータ
 オートコリメータはレーザー等の光線を測定対象に当て、反射して戻ってきた光線を
カメラ等で受光、その受光位置から対象物の角度(傾き)を非接触で測定する測定機器
です。目視で使用するオートコリメータは0.5分(0.15ミリラジアン)までの角度を測
定でき、電子制御のオートコリメータではその最大100倍の測定することが可能です。
さらに非接触での測定なので非常に小さな物質を測定することも可能です。ただ、光線
を反射させなければならないため測定対象自体が反射する物質であること若しくは測定
対象にミラー等の反射物を設置できることができなければ測定することができません。
通常は、主に光学系や機械系において部品の位置を調整したり、ゆがみを測定したりす
るのに使用されます。

 当社では創業(1995年)以来、「3.オートコリメータ」方式の測定機器/チルト
センサを製造・販売をしています。長さ(変位)を非接触で測定する変位計というもの
も世の中にはありますが、対象物が小さい場合は変位の分解能が高くないと角度に換算
するのは難しいことがわかります。当社のチルトセンサは対象物の角度そのものを測定
できるため対象物が1mm程度のものでも測定することも可能です。

スマートフォン用カメラアクチュエータの動向と評価方法

※今回は2019年光技術コンタクト誌11月号に掲載された弊社作成の記事を掲載いたします。

1.はじめに

1999年初めて携帯電話にカメラが搭載され,直後より爆発的にカメラ付携帯電話は普及して
きた。当時の撮像素子は10万画素程度と非常に少ない画素のCCDイメージセンサが搭載されて
いた。その後2003年ごろからは画素数も100万画素を超えメガピクセルの時代に入る。その後
年々画素数は増え,現在では4,800万画素という超高解像度カメラを搭載したスマートフォン
が登場している。

一方アクチュエータの搭載となると2005年ごろから登場した高機能カメラ搭載携帯電話が上げ
られる。これらの機種はオートフォーカスや光学ズーム機能まで搭載し,ほぼコンパクトデジ
カメの機能を盛り込んだ携帯電話であった。

その後スマートフォンの登場により携帯電話の薄型化要求が強くなりiPhoneの登場によりスマ
ホ搭載カメラは新たな方向性が示されることになる。

特に2009年に発売されたiPhone3GSは現在主流となっているボイスコイルモータ(VCM)駆動
AF機構を搭載したカメラを搭載し市場投入された。
以後この種の機構部を搭載したスマートフォンカメラが主流となり,高画素化に伴い光学手ぶれ
機構(OIS)を追加しスマートフォン搭載カメラは発展を遂げてきている。

表1にスマートフォンとアクチュエータの年別生産数量を示す。

2017年はiPhone7plusが発売された。iPhone7plusは2眼カメラを搭載し,望遠と標準画像を
切り替えることでズーム機能を有していた。これ以降各社複数台のカメラをスマートフォンに搭
載,マルチカメラの普及が進むことになる。本年度は1台のスマートフォンのメインカメラに平
均2台のカメラが搭載される見込みであり,更に3眼以上のカメラ搭載スマートフォンも発表され
ており,カメラ台数はスマートフォンの市場の伸び悩みに反し右肩上がりで増加すると想定され
る。

また,アクチュエータ搭載数もカメラ性能の向上に伴い順調に推移し,望遠カメラのニーズの高
まりによりOISの搭載数量も増加することが予想されている。

表1 スマートフォンとアクチュエータの生産数量【伊藤敬合同会社出典】
単位:千台

2017 18 19予測 20予測 21予測
スマートフォン 1,428,400 1,404,800 1,381,200 1,398,000 1,408,000
メインカメラ 1,836,300 2,046,500 2,659,600 3,514,000 4,026,000
アクチュエータ 1,871,250 1,873,000 1,870,900 2,135,000 2,306,000
OIS 446,500 526,700 515,200 674,000 731,000

 

最近では一眼レフカメラと同等な性能を目指しスマートフォン搭載カメラの開発が行われてお
り,本書ではスマホ搭載アクチュエータの動向とその評価方法について解説する。

2.スマートフォン搭載カメラのアクチュエータ

スマートフォン搭載カメラには高性能なアクチュエータが採用されているが機能別に2種類に
大別される。AF用とOIS用である。

2-1 オートフォーカス(AF)アクチュエータ

AF用アクチュエータはカメラレンズを合焦位置に移動させるために使われる。
現在のスマートフォンではカメラの高画素化に伴い,搭載されるレンズに高い解像度が要求
さていれる。レンズの性能は最適な焦点位置で発揮される。そのためにレンズを搭載して
最適な合焦位置に移動可能なAF用アクチュエータが必要となっている。

移動機構には板バネやボールベアリングが使われている。また,駆動デバイスとしてはボイス
コイルモータ(VCM)が主流となっている。それぞれの概略図を図1に示す。板バネ方式は構造
が単純で作りやすいため比較的安価で作成できるため,多くのメーカーがこの方式を採用して
いる。摺動部が無いので発塵のリスクが少ないこともメリットの1つである。しかしレンズを移
動させる際2枚の板バネのバランスが崩れ,チルトが発生しやすいため,部品の高精度化や板バ
ネにかかるストレスを均等にする製造方法が必要となる。

一方ボールベアリング方式はチルトが発生しにくい構造であるが,摺動部があるため発塵のリ
スクを伴う。また,多くの高精度な部品が必要であり,製造に手間もかかり高価になってしま
うため,一部の韓国メーカーしか量産化に成功していない。

ボールベアリングを使ったAFアクチュエータの概要

 

 

 

 

 

 

 

 

<ボールベアリングを使ったAFアクチュエータの概要>

板バネを使ったAFアクチュエータの概要

 

 

 

 

 

 

<板バネを使ったAFアクチュエータの概要>

図1 AFアクチュエータの概要

AFの制御方式にはオープンループとクローズループがあるが,それぞれのAF制御方式の概要
を図2に示す。オープンループ方式はその制御が単純で安価な方法として現在主流となってい
る。しかし,オープン制御だとAFをかけるまで時間がかかることがあるためより高性能なAF
制御が求められている。この問題を解決したものがクローズループである。

高性能である反面,比較的高価になってしまうため高級機種から採用が進んでいる。クローズ
ループは現在のレンズ位置を測定・フィードバックするセンサ(ホール素子が主流)が搭載さ
れており,このセンサの信号を使い安定かつ高速なAFを実現している。現在市場にはホール素
子を内蔵したドライバICが登場しており,作りやすさと低価格化に貢献している。最近のスマ
ートフォンのアプリケーションソフトウエアにはARなどを駆使したものが多く登場しているが,
その中にはクローズループを必須とするものもある。このような状況もあり,クローズループ
を採用したカメラを搭載するスマートフォンが増加することが予想される。

オープンループAF制御

 

 

<オープンループAF制御>

 

クローズループAF制御

 

 

 

<クローズループAF制御>

図2 AFアクチュエータの制御方式

2-2光学手振れ補正(OIS)アクチュエータ

OIS用アクチュエータはレンズと撮像素子間の位置を制御して,手振れにより発生する映像の
ずれを補正するために使用される。実際の製品写真を写真1に示す。カメラで映像を撮影する
際どうしても手振れが発生する。手振れは高性能なカメラほど顕著に映像に影響を与えてしま
うので高級機種ほど手振れを補正するためのOIS用アクチュエータが必要となっている。2種
類のOIS用アクチュエータの概要を図3に示す。

 

OISアクチュエータ(製品)

 

 

 

 

 

 

写真1 OISアクチュエータ(製品)

(新思考科技ホームページより)

 

1つは4本ワイヤを使用した方式である。この方式は摺動部が無いため発塵のリスクが少ない
ことから多くのメーカーが量産を行っている。しかし4本ワイヤで水平方向の移動を行う際
構造上チルトの発生リスクが伴う。このため製品化を行う場合には4本のワイヤに均一に
テンションがかかる様な製造技術が必要となる。また,比較的衝撃に弱い構造であるため各
社様々な対策を施した製品を出荷している。

 

4本ワイヤを使ったOISアクチュエータの概要

 

 

 

 

 

 

<4本ワイヤ使ったOISアクチュエータの概要>

ボールベアリングを使ったOISアクチュエータの概要

 

 

 

 

 

 

<ボールベアリングを使ったOISアクチュエータの概要>

図3 OISアクチュエータの概要

 

一方ボールベアリング方式はチルトの発生リスクが少ないものの,摺動部があるため発塵
リスクが伴う。また,高精度な部品を多種使うため比較的高価になってしまう。このため
ボールベアリング方式AF同様韓国メーカーのみが生産しているのが現状である。

現在駆動方式の主流はVCMである。AFのVCMが巻き線による電気磁石であるのに対し,OIS
ではFPコイルも採用されている。OISを薄く作成したいためであり,現在のスマートフォン
の薄型化に伴いFPコイルは必須の技術となっている。

FPコイルは電磁石を薄くすることができる反面電磁力に限界があり,最新のスマートフォン
への採用に障害となる事例がでてきている。それは撮像素子の大型化にある。2019年現在
最新のスマートフォンには48Mピクセルという高画素CMOSが搭載されており,64Mピクセル
CMOSの製品化も予定されている。この素子に対応するためにレンズは大型化し,AFアクチュ
エータを含めたOISに搭載される荷重が大きくなっている。

重量物を移動させるためには大きな電磁力が必要であり,FPコイルでは限界が来ると言われ
ている。この現象は4本ワイヤ方式で顕著である。ワイヤのテンションによる反力もFPコイル
の負担になるからであり,この点ではボールベアリング方式は反力が無いため有利と言われて
いる。

VCMに代わる方式として形状記憶合金(SMA)がある。駆動力が大きいとされるこの方式は新
しいOISの駆動方式として注目されている。この方式の説明については2.3項に記載する。

また図3に示す様にフィードバック信号にはジャイロセンサが使われており,その信号をもと
に映像がずれないようにレンズの位置を制御している。最近では望遠カメラをスマートフォン
に搭載する例が増えておりOISのニーズが高まっている。

また,動画を撮影する場合にもOISは必須となってきており,今後スマートフォンへの採用
事例が増えることが想定される。また,5Gの登場により通信速度が飛躍的に向上する。通信
速度が速くなれば大容量の動画撮影機会も増えこの事もOIS普及の一因となることが期待され
ている。

2-3 最新の高機能アクチュエータ

ここでは最新のアクチュエータについていくつか紹介する。どの方式もスマートフォンの機能
向上のために考えらえたものであり,実際にスマートフォンに搭載されているものもある。

この方式はスマートフォンの限られたスペースでより望遠倍率を上げるために考案,開発され
たアクチュエータである。望遠倍率を上げるためには焦点距離(f)の長いレンズが必要となる。
しかし,スマートフォンの厚さ方向には限界があり,fの長いレンズは搭載できなかった。
潜望鏡タイプのカメラでは光路を90度曲げて面内方向に光路を設定することでfの長いレンズ
の搭載を可能とした。現在一部の中国メーカーから発売されたスマートフォンに搭載されてい
る。その構造(図4)を以下に示す。

 

潜望鏡タイプの構造(ペリスコープ)

 

 

 

 

 

図4 潜望鏡タイプの構造

 

潜望鏡タイプレイアウト

 

 

 

 

写真2 潜望鏡タイプレイアウト

【伊藤敬合同会社出典】

 

光学構成としてはプリズムミラとレンズで構成されている。スマートフォンに入射した映像を
プリズムミラーで90度折り曲げてからレンズを通して撮像素子に結像する。AFとOISはこの2
つの光学デバイスを移動させて行う。①プリズムミラを1軸傾けてOISの1軸を,レンズの移動で
AFともう1軸のOISをコントロールする方法と②プリズムミラを2軸傾けてOISを,レンズの移動
でAFをという組み合わせが考えられる。現状②では映像に歪みが発生するリスクがあるため①の
方式が採用されている。現在市販化されている潜望鏡方式の外観を写真2に示す。

<形状記憶合金(SMA)>

ワイヤ状に加工した形状記憶合金(SMA)を駆動デバイスにしたOISアクチュエータが実現して
いる。概略図を図5に示す。3枚のプレートに2対のSMAを接続した構造になっており,それぞれ
のSMAに電流を加えることで発生する温度変化によりSMAの伸び縮みを制御しレンズの移動量を
コントロールする。構造的にシンプルであり,部品点数を少なくすることができるため安価に
作成できるというメリットがある。また,前項で記載した通り駆動力が大きいことも特徴の1つ
である。

しかし,SMAは温度が変化するとその抵抗値も変化するため複雑なコントロールが必要となる。
このため専用のコントローラを作成して対応する必要がある。また,プレート間には摺動面が
あるので発塵リスクがあるためプレート面の精度が必要となる。

SMAは撮像素子の大型化に起因するレンズやAFアクチュエータの重量増加に対応できるデバイ
スとして注目を集めている。今後もスマートフォンの上位機種を中心に採用例が増えることが
想定される。

 

SMA-OISの構造

 

 

 

 

 

図5 SMA-OISの構造

 

<センサシフトOIS>
この方式は撮像素子を移動させて手振れを補正するもの,つまり撮像素子をアクチュエータ
に載せて制御するOISである。デジタルスティルカメラでは多く採用されている方式であるが,
スマートフォン業界では新しい技術となる。スマートフォンのOISは通常レンズを移動させて
行っているが,レンズの大型化,重量化に伴い比較的軽量な撮像素子を移動させた方がメリッ
トがあるという判断から開発が進んでいる。

さらにレンズ移動方式では水平方向2軸(X-Y軸)のみのOISになるが,センサシフト方式で
はX-Y軸制御に加え回転(θ軸)の制御も可能となる。つまり3軸OISが実現可能となる技術であ
る。センサシフトOISは今後のスマートフォンの新しい追加機能として注目されている(図6
参照)。

センサーシフトOISの概要

 

 

 

 

図6 センサシフトOISの構造

<ズームレンズ>
携帯電話へのズームレンズ搭載は2000年代中盤からである,その後2010年ごろからはコンパ
クトデジカメのカメラ部分を携帯電話に搭載したものまで登場する。これらの機種は高倍率光
学ズームレンズを搭載しているためカメラ使用時にはレンズがせり出してきてほとんどコンパ
クトデジカメと同じ使い勝手であった。その後スマートフォンの普及によりこの様なデジカメ
光学系を搭載した携帯電話は電池の持ちも悪く製品化はされなくなった。現状はスマートフォ
ンに焦点距離の違う複数のカメラを搭載して光学倍率の違う映像を撮影,中間倍率はデジタル
処理で実現するという形が主流となっている。

一方デジタルスティルカメラは物理的な制限が少ないことで設計の自由度が大きく純粋な光学
ズーム機構を搭載することができ,スマートフォンとの差別化を確保している。スマートフォ
ンメーカとしてはデジタルスティルカメラと同等な機能を持たせたい,純粋な光学ズームレン
ズの搭載はスマートフォンメーカにとって1つの大きな目標となっている。想定されるズーム
レンズの構造を図7に示す。ズームレンズは複数のレンズ群の間隔を変更する事でズーム倍率
を変えることができる。アクチュエータとしては潜望鏡タイプから1軸増えて4軸制御になる。

ズームレンズの構造

 

 

 

 

図7 ズームレンズの構造

 

<スマートフォン搭載アクチュエータの推移>
表1にスマートフォンの出荷台数とカメラの数量,種類別アクチュエータの数量それぞれの
推移を示したとおり,現在スマートフォンにはAF,OISを目的としたさまざまなアクチュエ
ータが搭載され,それぞれが高精度に移動することでデジタルスティルカメラに引けを取ら
ない画像撮影を可能としている。事項ではこれらアクチュエータの評価装置がどのようなも
のか解説する。

3.スマートフォン搭載アクチュエータの評価

スマートフォンに搭載されるアクチュエータはそのカメラ性能を最大限に発揮させるために
レンズを最適な位置に正確に移動させる必要がある。よってアクチュエータには高い精度が
要求される。それは移動軸に対し正確に入力した信号に対し移動することはもちろん,傾か
ずに移動することも重要となる。

現在最新のスマートフォンレンズはFナンバーが1.5程度まで下がってきており明るいレンズ
が搭載されている。この値から焦点深度を求めると4.5um程度になる。このレンズがどれく
らい傾くと焦点深度から外れてしまうのか,最新の撮像素子1/1.7インチCMOSで考えた場合
は約0.035度(2分)傾くと焦点深度から外れてしまう。実際のスマートフォンレンズは複数
枚のレンズで構成されているため単純な計算では正確な値は求められないが,傾きは非常に
重要であることは理解できる。このためスマートフォンメーカでは傾きに対する測定も重視
しており,測定装置には傾き測定の機能が搭載されている。ここでは当社が製品化したアク
チュエータの検査装置について解説する。

3-1 AFアクチュエータの評価

AFアクチュエータ検査装置外観

 

 

 

 

 

 

図8 AFアクチュエータ検査装置外観

AF測定項目例

 

 

 

 

 

 

図9 AF測定項目例

AFアクチュエータは光軸方向にレンズを移動させ合焦点に位置決めする。測定機の機能とし
ては変位(Z軸:光軸方向)測定とチルト(TX-TY軸:2軸傾き)の3軸を同時測定する。通
常の検査ではAFアクチュエータに電流を加え,各ステップの変位とチルトの値を計測,様々
な特性を評価するストローク測定と呼ばれる検査が行われる。

測定機の外観(図8)と測定画面(図9)を以下に示す。また,変位チルトセンサ(HTシリーズ)
の測定原理について図10・11に示す。変位測定は三角法,チルト測定はオートコリメーター
法を採用しておりこの2つの光学センサの機能を1つの筐体に内蔵,変位チルトの同時測定を
実現した。また,光源を共有化することで光学センサの簡素化を実現した。

 

変位測定原理(三角法正反射)

 

 

 

 

 

 

 

図10 変位測定原理(三角法正反射)

チルト測定原理(オートコリメータ法斜入射)

 

 

 

 

 

 

 

 

図11 チルト測定原理(オートコリメータ法斜入射)

3-2 OISアクチュエータの評価

OISアクチュエータの評価はアクチュエータが動く方向(X-Y軸:変位)の測定と傾き(TX-
TY軸:2軸傾き)の4軸を同時に測定する。さらに,OISアクチュエータにはほぼ全数AFアク
チュエータが搭載されているため,AFアクチュエータも同じ工程で検査されるケースが多い。
つまり,測定装置としては5軸測定機能を有している必要がある。

測定装置の外観(図12)と測定画面(図13)を以下に示す。また,変位測定原理について図14
に示す。

MF-5550_a_背景ヌキ_20210623

 

 

 

 

 

 

 

 

図12 OISアクチュエータ検査装置外観

OIS測定項目例

 

 

 

 

 

 

図13 OIS測定項目例

本装置には高速5次元センサを採用しており,その内部構成は3.1項で紹介した変位チルト測
定光学系と変位測定光学系を同一筐体に組み込むことで同時5軸測定を実現した。位置測定は
均一光源を照射,測定物に搭載したターゲットの動きを受光光学系で測定することで変位量の
測定を行う。

位置測定原理

 

 

 

 

 

 

 

 

図14 位置測定原理

 

3-3 潜望鏡アクチュエータの評価

潜望鏡アクチュエータには大きく分けてプリズムミラを動かす機構とレンズを動かす機構が装
備されている。個々そのアクチュエータの移動軸と移動量等仕様に最適な光学センサを使い測
定を行う。
プリズムミラに関しては傾斜角度を制御することでOISの1軸に対応している。このため入力
信号による傾き量(チルト)を測定する。現状のプリズムミラは±2度以上の移動範囲を持って
おり,フルストロークを測定するためには±3度以上の視野を持つチルトセンサが必要となる。
当社では±5度の測定レンジを持つチルトセンサを開発,プリズムミラの測定に対応している。
また,±10度の測定レンジを持つチルトセンサも開発,あらゆるニーズに対応できるよう準備
を進めている。

一方レンズアクチュエータに関しては光軸方向から5次元センサを使い測定を行う事が可能で
ある。測定は3.3項のOISアクチュエータの測定と同様な方法で行う。

3-4 センサシフトOISアクチュエータの評価

2.3項に記載した通りセンサシフト方式のOISはX-Y軸に加え回転(θ軸)方向にもOISの補
正軸を持っていることが特徴である。測定装置としては5次元センサにさらに1軸(θ軸)を追
加しなければならない。当社では新たな光学センサを開発しセンサシフト方式OISの測定ニ
ーズに対応している。光学センサの外観を図15に示す。基本的には5次元センサの光学系に1
軸を追加して6次元センサを実現しているが,詳細については次の機会に解説したいと思う。

6次元センサ_旧タイプ_新型6次元センサ_20210623

 

 

 

 

 

 

 

図15 6次元センサ外観

4.おわりに

OISアクチュエータに採用されている方式別に生産数量の推移を表2に示す。
2017年には市販化が実現していた4本ワイヤとボールベアリング方式のみの出荷が行われて
きたが2019年になり新型方式を採用したOISアクチュエータの採用が始まった。これらの新
型アクチェータはそれぞれの特性を生かし,採用数量を増やしてゆくことが予想されている。
今後も様々な技術を使った新しいアクチュエータが登場する可能性もあり目が離せいない。

日々進化するスマートフォンのカメラ技術には新たなアクチュエータの開発・製品化,また
従来製品の性能向上が不可欠となっている。さらに,他社に先んじて新たな機能を盛り込ん
だスマートフォンを発売するためにアクチュエータの開発開始から製品化までの期間が短く
なっていることも事実である。このような環境下において性能評価を行う光学センサ及びそ
れを組み込んだ検査装置も不可欠であり,市場のニーズにタイムリーに応えられる用光学セ
ンサの開発・製品化を続けてゆきたい。

表2 OISアクチュエータの方式別生産推移 【伊藤敬合同会社出典】
単位:千台

2017 18 19予測 20予測 21予測
4本ワイヤ 337,500 406,600 350,000 260,000 160,000
ボールベアリング 109,000 120,100 136,200 180,000 210,000
潜望鏡 0 0 17,000 174,000 241,000
SMA 0 0 12,000 32,000 60,000
ピエゾ 0 0 0 28,000 60,000
総合計 446,500 526,700 515,200 674,000 731,000

新型6次元センサ

オートコリメータで倒れの角度を測定し、変位を変位計で測定する。
さらに回転方向の角度もオートコリメータで測定すれば
θX,θY,X,Y,Z,θZの6軸方向の測定は可能ですが、
測定するためのターゲットが複雑な形状になるばかりか
データ管理の観点からするとあまりシンプルな
手法ではありません。

弊社ではこの6軸の測定を一方向から同時に測定可能な
センサの開発に成功しました。

R0878_6次元センサ装置イメージ②

 

 

 

 

 

 

主なアプリケーションはスマートフォンカメラモジュールの
アクチュエータの検査、(IBIS(センサーシフト式手振れ補正))
評価を想定しております。

ご興味ありましたら下記よりお問い合わせください。

緊急事態宣言発令に伴う対応につきまして

aaa_Infomation

 

 

お客さま・お取引き先各位

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の拡大防止の観点から本社(神奈川)所属の
従業員に時差通勤等対策しておりましたが、さらなる感染リスク低減を目的として、
2020/4/8(水)から当面の間原則在宅勤務(テレワーク)を実施することにいたしました。

お客さま・お取引先の皆さまには、ご不便・ご迷惑をお掛けいたしますが、
何卒ご理解のうえご容赦賜りますよう、お願い申し上げます。

なお、感染拡大状況および政府方針により今後の対策について内容の見直しを
随時行ってまいります。

在宅勤務に伴い 電話、FAX応答・フォームからの問合せへの対応に時間を要する
場合がありますので、予めご了承いただけますようお願い致します。
新型コロナウイルス感染症の一日も早い収束をお祈り申し上げます。

新型変位チルトセンサ(オートコリメータ)

オートコリメータで角度を測定し、変位を変位計で測定する。
2つのセンサーを使うことでチルトと変位を測定する手法が
ありますが、データ管理の観点からするとあまりシンプルな
手法ではありません。

弊社ではこの変位とチルトを一方向から1レーザーで同時に
測定可能な変位チルトセンサという商品を扱っています。

この度従来品にくらべ、体積を約35%サイズダウンしたものを
リリースしました。

測定範囲は変位が±1500μm、チルトは±60分でのご案内となっております。

ご興味おありでしたらこちらからお問い合わせください。